座喜味城跡が世界遺産に登録
世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から引き継がれた宝物です。それは今日に生きる世界の全ての人びとが共有し、そして未来の世代に引き継いでいくべき貴重な遺産です。
この世界遺産は「文化遺産」「自然遺産」、そして自然と文化の両方の要素を兼ね備えた「複合遺産」に分類されます。
これら人類共通の遺産としてその保護を定めた「世界遺産条約」は、一九七二年の第十七回ユネスコ総会で採択された国際条約で正式には「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」といいます。世界遺産条約は、条約締結国から推薦された各国の優れて普遍的な価値を有する文化財や自然環境を世界遺産として認定し、そのリストを作成することを定め、それを国際協力により保護し、次の世代に受け継いでいくことをうたっています。日本も一九九二年一二五番目の締結国として仲間入りを果たしました。
今回の遺産リスト登録を含めた日本の世界遺産は、自然遺産二件、文化遺産九件の合計十一件です。
今回、座喜味城跡を含む「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」に含まれた内容は、琉球王国統一(十四世紀後半)から王国が確立した後の十八世紀末に生み出された、琉球独特の特徴を表す文化遺産群で、以下の九つです。今帰仁城跡(今帰仁村、遺跡)、座喜味城跡(読谷村、遺跡)、勝連城跡(勝連町、遺跡)、中城城跡(北中城村・中城村、遺跡)、首里城跡(那覇市、遺跡)、園比屋武御嶽石門(那覇市、記念工作物)、玉陵(那覇市、記念工作物)、識名園(那覇市、遺跡・文化的景観)、斎場御嶽(知念村、遺跡・文化景観)。これら遺産の総面積は五四・九ヘクタール、緩衝地帯の面積は五五九・七ヘクタールで合計六一九・六ヘクタール、重要文化財二棟、史跡七、名勝一が指定されています。
遺産登録までの経過として一九九三年八月十二日、ユネスコの世界遺産委員会の下部組織である世界記念物遺跡会議の世界遺産コーディネーターのヘンリー・クリア博士が来県したおりには、座喜味城跡を実際に訪問しています。
文化庁は一九九九年五月二十一日に新たな文化遺産として推薦することを決め、六月二十五日、日本政府は世界遺産一覧表登載推薦書をユネスコ世界遺産センターへ提出しました。その後、センターでは内容審査が行われ、二〇〇〇年一月二十七日から三十一日には、世界遺産委員会諮問機関のイコモス(世界記念物遺跡会議)のメンバーが座喜味城跡を含む推薦遺産の総合的価値評価を行いました。こうして、第二十四回ユネスコ世界遺産委員会総会(十一月二十七日から十二月二日・オーストラリア、ケアンズにて開催)で十一月三十日に世界遺産一覧表への登載が正式決定され、十二月二日に登録がなされました。