読谷の自然(59)
昆虫類【トンボ類】(1)
アオモンイトトンボ
(イトトンボ科)
今月号から村内で見られる身近な昆虫類を紹介します。はじめに村内各地にある池や沼に生息するトンボ類から紹介します
アオモンイトトンボは、雄の体色が全体的に青い色の細いイトトンボで、体長は三二㎜内外、後翅の長さは一七㎜内外になります。雄は成熟すると腹部末端付近に青い色の紋があらわれます。雌は未成熟時はだいだい色が強いが、成熟すると緑色を帯びた褐色になり、腹部の背面には黒いすじが一本走ります。
日本本土から朝鮮半島、東南アジア、アフリカなどと広い範囲に分布し、県内でも人家周辺の草むらなどで周年にわたりよく見られます。未成熟の個体は採餌のため水辺を離れて行動するため、ちょとした草むらや人家周辺でも出現するわけです。本種は小さな湿地でもヤゴは生息でき、止水性トンボの典型的な種のひとつです。
一般的にトンボ類は、ヤゴから羽化した未成熟の状態では、餌をとることに専念します。その後成熟すると色も変わり、同時に水辺に戻ってきて雌を獲得し、交尾・産卵などの繁殖行動に移ります。
文・沖縄県立博物館学芸員
嵩 原 建 二
(伊良皆サシジャーガー・六月)