読谷の自然(63)昆虫類【トンボ類】5~リュウキュウギンヤンマ~(ヤンマ科)
大きさが九〇㎜前後の大型のトンボで、雌雄とも頭部から胸部は緑色をしていますが、腹部の第二節から三節にかけての青色がよく目立ちます。オオギンヤンマによく似ていますが、額の部分に黒いT字の紋が出ることで区別されます。
本種は奄美諸島以南から沖縄を経て、台湾、東南アジア、フィリピン、ニーギニアなどにかけて広く分布し、県内でもほとんどの島に分布しています。
主に森林に囲まれた水性植物が生い茂る平地の池、湧水池などにヤゴは生息し、成虫は一年中見られますが、水辺を遠く離れて道路脇や農耕地などを飛び回り、餌を探します。
産卵は雌個体で行い、水中に沈んだような水草に埋め込むようにして産みつけられます。
このトンボの雄はなわばりの占有性が強く、雌をつかまえ細い糸をつけて雄の近くで振り回すとすぐに雄が飛びついてきて交尾行動を行うため、雄が簡単に捕まえられてしまいます。
村内でも気をつけて見ればサシジャーガーや比謝川などのような水辺近くでふつうに見られます。
(文・写真:沖縄県立博物館学芸員 嵩原建二)