人権作文コンテストへ応募
古堅中学校の新垣さんの作品
第二十一回全国中学生人権作文コンテスト沖縄県大会が開催され、古堅中学校から二四点の応募があり、その中から新垣法子さんの作品が中部地区の沖縄人権擁護委員協議会に送られましたが、残念ながら次点となり、中央審査には進むことはできませんでした。しかし、すばらしい内容なので「広報よみたん」へ掲載して欲しい旨の沖縄人権擁護委員協議会より推薦がありました。ここ応募作品を掲載いたします。
人への思いやり
古堅中学校 新垣 法子
日本は今、本当に「平和」なのでしょうか。確かに、日本では戦争はしていません。しかし、「いじめ」は「小さな戦争」じゃないのでしょうか。
私の読んだ新聞に、こういうことが書かれていました。
私は、その記事を読んで、日本では本当に、「一人の人間の生命が大事にされているのだろうか」と考えました。
最近、幼児虐待など、残酷な事件や殺人が増えてきています。自殺に追い込まれた人も、この二年間で、およそ六万人もいるそうです。
毎日のように、ニュースで残酷な事件が報道されています。最近、みんなが安全と思っている学校でも、何も罪のない子供たちが殺された事件がありました。逆に生徒が教師を殺害した事件も数々あります。
お互い守りあわなければならないはずの家族でも、親が子を殺害する事件や子が親を殺害する事件も少なくありません。最初のうちはすごい衝撃が走ったこのような事件も、だんだんとあたりまえのようになっていないでしょうか。このような事件になれてしまうことは、本当に恐いことです。
先日、あるテレビ番組で、ライオンの親子の取材をしていました。その母親は、片目が見えないにもかかわらず、自分の子どものために、飲まず食わずで、子どもを守り抜いていました。
教育のある人間社会では、愛情や思いやりが失いつつあるのに、本能で生きている動物の世界には、すさまじい愛を感じとれました。
近代メールや携帯など生活が便利になってきました。しかし逆に人と人の対話もなくなりつつあります。文字だけでは分からない、相手の表情などが大切だと思います。
ある後進国の青年の生き方を紹介していたテレビ番組で、日本に出稼ぎにきている青年が、自分は最低限の生活をしているにもかかわらず、給料の九割を国の家族に送っていました。そのおかげで、国の家族は、幸せな生活を送っているそうです。
「自分のためではなく、家族のためにがんばっている。」と、青年は言っていました。
この番組を見て私は、一人びとりが、自分のためだけでなく、人のために尽くすという思想に近づいたとき、本当に人権が大切にされていると思いました。
「自分たちの社会のことは、自分たちがしっかり見守り、つくっていく。」そういう民主主義が根付いたときに、社会は本当に変われると思います。
その「悪と戦う心」をなくして、皆が無気力、無関心、どうでもいいやという風潮になった時、今は小さい家庭内や地域でおこっている小さな戦争、事件が大きな戦争へつながっていき、今ある人権が、失われていくと思います。
人はどうしても、自分中心に考えてしまう所があるけれど、相手を敬い、相手側に立って考えられる自分になりたいです。
一人びとりが、こういう気持ちになったとき、人権は守られていくのではないでしょうか。