読谷の自然(69)昆虫類【トンボ類】11
~ショウジョウトンボ~(トンボ科)
沖縄で最もふつうに見られるトンボで、成虫は一年中見られます。体長は四二㎜内外で、雄は成熟すると体全体が赤色をおび、雌は黄かっ色になります。
成熟した雄を、沖縄では歌に出てくる「アカトンボ」ということがありますが、沖縄には本土でいうアカトンボ(アカネトンボ)の仲間はすんでいません。本土のアカトンボは「アキアカネ」という別の種類になります。
雌はウスバキトンボによくにていますが、腹部の正中腺(背中側)が黒いすじ状になっていることで区別されます。
本種は平地の池や沼地、流れのゆるやかな河川、水田などに多く生息し、周辺の植物にとまって休息したり、なわばりを守っている姿がよく見られます。交尾は草にとまって行われます。産卵は雌だけで行い、水面をたたくように産卵(打水産卵)を行い、水中に卵を放出します。
村内でも沼地や湧水地、水たまりのある水路沿い、ため池、河川沿いなどでふつうに見られます。
(文・写真 沖縄県立博物館
学芸員 嵩原建二