読谷の自然(71)
昆虫類【トンボ類】13
~ウスバキトンボ~(トンボ科)
沖縄でもっともよく見られるトンボの一つです。体長四六㎜前後、体色は淡いオレンジ色で、オスは成熟すると腹部が赤くなります。移動性が強い種で、数万から数十万匹の大群で移動することがあります。全世界の熱帯、亜熱帯に分布し、夏に温帯地方へ北上(南半球では南下)します。日本では北海道まで移動しますが、冬の寒さのため、本土や北海道では冬を越すことができません。
沖縄島で成虫が見られるのは三月から十二月です。空き地や草地、道路上を数匹から数十匹の集団で飛んでいます。特に台風前に多数見られるので、方言でカジフチ(暴風)トンボと呼んでいます。
池や水田で繁殖し、ヤゴは底の泥の上にいます。交尾は池の上を飛びながら行い、産卵はオス・メスが連なったまま行います。また、メスが単独で産卵することもあります。発育期間が短いトンボで、夏は約一か月で卵から成虫になります。そのため、ヤゴは一時的な水たまりでも育つことができます。ときどき学校の水泳プールで発生することもあります。
文・沖縄県ミバエ対策事業所
小浜 継雄
キャプション:枝に止まり休息するメス