保育の窓一
「大切にしたいもの」
読谷保育所の園庭は木々に囲まれ、子供にとって飽きることのない小さな生き物や自然がいっぱいある。三歳のR君は毎日のように蝉やバッタを捕まえては図鑑と見比べている。そして、女の子や年少の子に「捕まえてあげるからね」と、その頼もしさを発揮する。
バッタを持ち帰ったT君はお風呂に入るために逃がした。「俺と遊びたくなったらまた来いよ」と言ったそうだ。「一番大きいバッタが取りたい」と、七夕の短冊に書いた子もいた。園で収穫したゴーヤーでジュースや、天ぷらを作ったら目を見張るほどの食欲である。又、「紫のごはん、とおーってもおいしかったよ、お母さんも作って。」と要求され「へえ~、ごはんにもお芋を入れるんですか?」と展示食を見てびっくりしたお母さんもいる。
先日、カモの親子が飼育小屋に仲間入りした。可愛い雛は水掻きのある足でパッパッとお母さんの後をついて餌をついばむ。お母さんは食べたいのを我慢してしばらく見守っている。その後、羽の下で休む様子を見た子供たちに笑みがこぼれた。
人間がどう生きるか、どのように振るまい、どんな気持で日々を送ればいいか、本当に知っていなくてはならないことを学ぶ場所だと思う(だから大切にしたい)。
文・読谷保育所 上地洋子