読谷村の自然78
昆虫類【トンボ類】20
~アカナガイトトンボ~
(イトトンボ科)
体長は四三㎜内外で、赤色の細長いイトトンボの仲間です。リュウキュウベニイトトンボによく似ていますが、成熟した雄ではより鮮やかな赤い色をしています。
成虫は三月下旬から十二月下旬までの長い期間に出現します。流水性のトンボで、水草の多い流れの緩やかな河川や湧水地、用水路などのほか、山林地の開けた渓流などにも見られます。雄の成熟した個体は、岸辺の植物にとまり静止していることもありますが、行動は活発で、すばやく飛び回ったりします。交尾は岸辺の植物にとまって行われ、雄雌が連結して、水面の植物に産卵します。
本種は沖縄島を分布の北限として、国内では久米島、石垣島、西表島、与那国島、竹富島に生息し、国外では台湾やフィリピンに生息します。村内では恩納村との境界近くを流れる水のきれいな垂川で見られます。おそらく、この地域は沖縄島における本種の南限地域になっていることが考えられます。
文・沖縄県立博物館 嵩原建二 写真・沖縄県ミバエ対策事業所 小浜継雄