読谷村の文化財(20)
渡具知東原遺跡
東原遺跡は渡具知の比謝川河口にあり、そこは川沿いで谷底になっています。川の対岸には嘉手納町が望めます。
昭和五十年から五十二年にかけて発掘調査が行われています。大きく二つの地層が見つかり、今から約七千年前
の地層から爪形文土器が、約五千年前の地層から曽畑式土器が出土しました。いずれも日本本土の縄文時代の土器をルーツとする土器です。また、土器といっしょに石斧、やじり(弓矢の先)、犬の骨も出ており、犬も五千年前の時代から狩猟犬として人間と生活を共にしていたようです。
東原遺跡が発見されるまで沖縄最古の遺跡はせいぜい約三千五百年前のものでした。この遺跡の発見で沖縄の土器文化の時代がいっきに二倍の古さまでさかのぼり、土器(つまり焼き物)の発祥が東原遺跡の時代とわかりました。この発見はマスメディアでも報道され、沖縄考古学会では戦後最大の発見と評価されています。その後、東原遺跡と同じ時代の遺跡として渡慶次大久保原遺跡、嘉手納野国貝塚が見つかっています。
文・文化振興課 仲宗根求