読谷の自然79
昆虫類【トンボ類】21
~ホソミシオカラトンボ~
(トンボ科)
体長約五〇㎜、名前どおり体が細いシオカラトンボ類です。雌雄で著しく体色が異なります。オスの体色は未熟のうちは黄褐色ですが、成熟すると青白色に変化します。メスは黄褐色で、いわゆる「ムギワラトンボ」です。台湾、中国南部、フィリピン、東南アジアからインド、セイロンに分布し、国内ではトカラ列島中之島、沖縄島、宮古島、石垣島、西表島などに分布します。八重山諸島ではふつうに見られますが、沖縄島や宮古島では数が少ないトンボです。
成虫は八重山では一年中、沖縄島では四月から十一月に見られます。幼虫は植物が茂った湿地に生息しています。本種は読谷村ではサシジャー北側のハイキビなどに覆われた湿地に生息しています。
沖縄島ではこのような湿地が減少しており、サシジャーの湿地は本種の生息場所として重要です。成熟したオスは「なわばり」をもち、植物に止まってメスがあらわれるのを待ちます。メスは密生する植物の中にもぐりこんで、水面を腹の先で連続的にたたいて産卵します。
文・写真 沖縄県ミバエ対策事業所 小浜継雄