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2003年2月発行 広報よみたん / 12頁

「税について」 読谷高校三年 多和田恵香

「税について」
読谷高校三年 多和田恵香

 今の社会で税を納めたくないと思うのは当然だと思う。もちろん、ただ単にお金を払うのが嫌だからというのもあるだろうが、一番の理由は税の使い方にある。
 税には所得税をはじめ、消費税、法人税など様々なものがあるが、ここ数年、税に関する不満の声が多く聞こえてくるようになったと思われる。選挙演説の際「減税をスローガンに頑張ります」という文句で民衆の関心を惹きつけているのが良い例だろう。皆、税に不満を持っているからこそ「減税」という言葉に魅力を感じるのだ。実際消費税の場合〇%から三%、五%に増えた。ゆくゆくは一〇%にまで騰がるだろうとの声もあり、私自身、税と聞いて良いイメージは少ない。
 ならば、極端な話、無税にすれば丸く収まるではないかと思ったのだが、出来るのならば既にしているだろう。無いと困るからこそ、不満を承知で納税を義務付けているのだ。
 警察をはじめ、消防や道路や公園や学校等はどれも生活に欠かせないものである。これらは、私達が安心して暮らせるよう、国や地方公共団体が運営しているのだが、その運営費用のほとんどが税金で成り立っている。税を無くせと言うことはこれらの公共施設を廃止してもいいと言っているのと同じことになるのだ。また、あまり実感はわかないが税金は助け合いの一面も持つ。経済的に困っている人への援助や近年問題となっている高齢化社会への対策として成立した介護保険制度も税金によって賄われている。私達の暮らしがどれほど税に支えられているかが分かるだろう。そしてその必要性をきちんと理解しているからこそ、しぶしぶながらもしっかり納める。
 しかし税のおかげで今の暮らしがあるとはいっても、税の使い方には問題があると思う。
 無駄が非常に多いと思うのだ。どういうことかというと、例えば諌早湾の開拓。あれだけ批判を受けて堤防の閉め切りをしてどれだけの利点があっただろうか。少なくとも干拓によって土地を造ったが、そこで農業生産をして利益を上げた事もなければ宅地等になったところもなく、災害防止の為に造ったといっても洪水を防ぐ役には立たない。
 同じ道理で、北海道では貴重な食物が生息する原野が風前の灯火の有様、しかもそうして造った工場用地には殆ど買い手がつかない。
「個人が身銭でチマチマやれば自然破壊だが国が税金でドカンとやれば公共事業」ということだろうか。惰性で使いみちの無い公共事業をやって環境破壊をされては、その分の税金まで払う国民はたまったものではない。
 また、いわゆる第三セクターなるものの経営による事業も大抵が大赤字であり、これも税金で補填している。どうしても必要な施設ならともかく、レジャー施設の赤字まで税金で補填とはどう考えてもおかしい。これだけの金があるのなら税金を減らすか福祉にまわすべきである。
 好き好んで行政改革を口にする方々は何故かこれらの公共事業については殆ど何も言わずしきりに役所をリストラしたがる。「無駄な役人を減らし行政をスリムに」という主張は一見まともに聞こえるが、その結果リストラされるのが営林署や気象台の測候所だというのだからますます理解に苦しむ。阪神大震災のとき、淡路島の測候所が二十四時間体制の観測をしていなかったせいで神戸方面の状況の把握が遅れたというのに、地震観測の拠点になる測候所がリストラの対象になっているのだ。しかも、その計画が発表されたのは大震災直後。日本屈指の危険な活火山・十勝岳の測候所も地震計とモニターカメラを残して無人化されたそうだ。呆れた話である。「火災報知器は維持費を食うだけ」といって会杜のビルから火災報知器を全部外したら火事になった時に社員は焼け死ぬ。「堤防から米や麦は獲れない」といって堤防を崩して田畑にすれば僅かの雨で街や田畑は水浸しになる。
 バカバカしいほど当たり前の話だが、全く同じ理屈が日本の政治では罷り通っているのだ。
 そうでなければ森林保全や地震・火山の観測の為の予算や人員を無駄扱いに出来る筈が無い。
 このような現状では、税を納めたくない気持ちになるのも当然だ。税の重要性は承知しているし税にどれだけ助けられているかも知っている。
 しかし、国や地方公共団体が民衆の納得する使い方をしなければ、やはり不満は溜まるにきまっている。現在、六百兆円を超える国の借金も、結局は何らかの形で国民の税金で埋め合わせなければならないのだ。納税は国民の義務だが、権利でもある。納税するだけではなく、正確な税の知識を身につけ税の行方に関心を持つことも義務のうちに入るのではないだろうか。近い将来、私も税金を納める立場になる。その時、自分自身、税とどう関わっていくべきかをよく考えることがポイントになると思う。

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