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2003年2月発行 広報よみたん / 13頁

「税について」 読谷高校三年 友利由衣子

「税について」
 読谷高校三年 友利由衣子

 近年私達日本は、世界でも一、二位を争う先進国にまで発展し、日々の生活を何不自由なく送っています。お菓子が食べたいと思えば、コンビニエンスストアーへ行くとすぐに買い求められるし、水道の蛇口をひねればキレイな飲料水を飲むことができます。こうした豊かな生活が当たり前に送れている背景には、税という存在が大変重要な役割を果たしているのです。
 私達高校生に一番身近な税金として、消費税があげられます。昼食の時などに飲み物を買うと、私達は五%の消費税を支払っています。物を買う時、消費税を支払う事は私達にとってごく自然な事となっていますが、このわずか五%の税うち約六割は老後の生活を支える為に使用され、後の四割程は身近な生活を支える為に役立っています。百円に五円というわずかな金額でも、日本国民全員が物を買うたび支払うとなると、それはかなりの財源となります。このように、私達の生活にすっかり定着している消費税ですが、その歴史は意外に浅く、平成元年の創設です。
 当初の消費税率は三%でしたが、五%に引き上げられ、国民は不満をつのらせました。
 しかし実は、引き上げられた五%の税率でも世界各国と比較すると、目本はとても低い水準だったのです。世界のほとんどの国は、ほぼ十%を超えていて、特にスウェーデンやデンマークでは二十五%という非常に高い税率が課せられています。私はこれを聞いて、とても驚きました。日本では五%の税に不満を持っている人も少なくないというのに、その四倍もの税を支払っているスウェーデンの人々は、我々日本人とは税に対する考えや、税についての理解も全く異なっているのだろうと感じました。また、消費税だけではなく所得税の負担額も、我々日本は各国に比べ、低い数値となっています。これほどまでに発展を遂げている日本の租税負担率が低いというのは非常に不思議なことだと思いました。租税の負担が上がれば確かに支払いに苦労するとは思いますが、それに十分値するほどの充実した社会資本の整備や、より良いサービスを受ける事が可能となります。国の財政難の悪化にも対応していかなければならないので、多少の増税は必要ではないかと思います。
 では実際、税は私達の生活の中でどのようにして役立っているのでしょうか。まず、ほとんどの人がお世話になった学校があります。校舎やプールなどといった建物自体もそうですが、私が真っ先に思いつくものは、授業で使われる教科書です。初めて教科書が、税金によって賄われていると知った時、税金ってすごい仕組みになっているんだと驚きました。
 その頃は、税金といえば消費税ぐらいしか知らなかったので、あの少しのお金で皆に教科書が配布されるのかと感心した覚えがあります。日本の一人当たりに使用される学校教育費の額は、世界でもトップクラスで、それによって私達は充分な教育を受けられ、自分の夢の実現に近づくことが出来るのです。これは非常に素晴らしいことだと思います。そして、授業を行う教師の給料も税金から支払われています。学校という存在は、税金によって成り立っているものなのです。
 教師の他にも、消防士や警察官、役場で働く公務員の給料も税金からきています。もし税金がなかったとしたら、家で火事が起こってしまった時、消防車が出動せず家は全焼してしまうでしょう。大ケガをしても救急車は来なくて、警察官がいなくなると社会は安全性を失い、住み心地の悪い場と化していくでしょう。今、例を挙げた他にも、ゴミ収集車や公園、橋などといった公共施設など、私達の身の周りには税によって賄われているものは数えきれないほどたくさんあります。税がなくては、私達の住みよい環境などというものは存在せず、より良い生活を送ることは不可能なのです。
 近頃日本では、異様な速さで高齢化が進んでいます。その一方、出生率の低下による少子化も進み、二〇三〇年頃になると国民の三人に一人が高齢者という時代になると予測されています。生活が困難な人や高齢者、身体障害者の人達に使われる目的の社会保障は、そのほとんどが社会保険費として、医療費の負担や年金を支払うために使用されています。
 もちろん医療費の負担があるため、病院で治療を安心して受ける事が出来るのですが、これからの高齢化社会に向けて、私は社会福祉費の割合も少しは上げていくべきではないかと思います。お年寄りが増えるというならば、それに対応して社会の設備も高齢者向けに改良していく必要があると思うからです。ホームヘルプサービスやデイサービスなど高齢者の方が生活しやすい環境をつくっていって欲しいです。
 私達は、どうしても目先にある税の負担にばかり気を取られてしまい、その先にある充実した素晴らしい社会生活には、目を向けきれていないのではないかと思います。原因はこんなにも密接な関係にある税について、理解が不十分な為でしょう。税は国を維持し、発展させていく為には、必要不可欠なものです。結局私達が支払った税金は、私達の生活に役立てるため、再び我々の元へ戻ってきます。これからは、もっと税について関心を持ち、納税者として恥ずかしくないよう、さらに理解を深めていきたいものです。

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