保育の窓六
こどもは親だけでなく地域皆で育てよう
読谷村に子育て支援センターがオープンしたのは平成十三年四月です。
今程子育てが難しいと叫ばれた時があったでしょうか。核家族、少子化の進行、また、女性の社会進出、各界で活躍する女性の姿が華々しく伝えられる一方、家庭で子育てをする母親への社会の評価はどうでしょうか。子育ては普通にできてあたりまえ。子供の態度が悪いと「君の育て方が悪い」と責任は全て母親に向けられます。「私のことも認めて!」きっと多くの子育て中の母親はそう思っているに違いありません。
支援センター利用者の中に双子を持つ親が何人かいらっしゃいます。妊娠中は一度に二人の子宝に恵まれると喜ばれますが、いざ出産すると二人分の夜泣きで睡眠不足が続き、外出もできず、とうてい自分の時間など持てるはずもありません。
村の乳児健診や一歳半健診で、保健婦や母子推進委員に相談し、助けてもらい、母親の夢であった、戸外で思う存分二人の子供たちを遊ばせることが実現します。
支援センターに母子推進委員と共にやって来た当初は、靴をはいたまま部屋を走りまわり、他児の遊んでいる遊具を片っ端から奪い取ったりしていました。まるで嵐が来たという感じです。まわりの母親たちはそんな彼らを嫌がらず「一人でも大変だのに双子を育てるってすごいよね!」とその大変さを認めて接してくれました。その後は、双子ちゃんが来ると迎えに行き、靴を脱ぐのを手伝ったり、言葉をかけるなど「今自分ができる事で手助けしよう」という雰囲気がセンター全体に広がっています。二人が母親に抱っこをねだると他の母親も手伝ってくれます。二人の成長を母親に告げる事で親の嬉しさ、自信、そして育児の楽しさへとつながっています。周りの温かい優しさに接し、子供たちが変わり、そして母親が変わりました。少しだけゆとりができた母親は、先輩ママとして当時の事を思いだしながら、他の母親たちにいろいろアドバイスをしています。子育てのユイマールです。
支援センターの位置付けは「子育てで困っている家庭を支援する施設」だけではありません。支援センター利用者には、県外や他市町村から移り住んだ方々もおり、同年齢の子供たちの集団の場、親子の友だちづくりの場となり、お互いに楽しく子育て情報の交換をしています。
文・子育て支援センター
主任 新里千代子