読谷の自然(85)昆虫類【チョウ類】25~シロオビアゲハ~
(アゲハチョウ科)
最もふつうに見られるアゲハチョウの仲間で、雄は上面からみると全体黒色の後翅に白くて丸い斑が横一列ならびます。雌には2型があり、雄によく似た「Ⅰ型」と呼ばれるタイプと「Ⅱ型」と呼ばれ、毒チョウであるベニモンアゲハに似せて後翅に赤い斑紋(これを擬態という)を持ち、翅も全体的に黒色がうすくなります。これは毒チョウに化けることで、外敵から身を守っていると考えられています。沖縄島ではこのⅡ型の中でさらに八重山産に比較して後翅の白斑が小さく、赤斑が広いタイプが見られます。
本種の分布は国内では八重山諸島から奄美諸島までで、国外では東南アジアを中心に広く生息しています。成虫は二月頃からん十二月までみられ、道路わきで飛び回る姿をみかける機会も多いことでしょう。幼虫の食草は主にサルカケミカン、シークワーサー、ハマセンダンなどのミカン科植物です。
写真・文 嵩原建二(沖縄県立博物館学芸員)