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2005年5月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能2 組踊(2) 久志の若按司

読谷の民俗芸能2
組踊(2) 久志の若按司
 現存する七十番近くの組踊は、敵討物が圧倒的に多いが、その敵討物のなかでも「久志の若按司」は人気のある組踊のひとつだといわれています。台本の写本も数多く残っており、商業演劇でもたびたび上演されたことが当時の新聞の広告記事でわかります。作者、創作年代は不明ですが、主人公久志の若按司がいとこの天願の若按司を救いに行く道行の場で歌われる口説のなかに、一七四三年(尚敬三一)に廃止された東恩納番所が出てくることは創作年代を知る上で大きな手がかりになりそうです。
 あらすじは、天願の按司の頭役謝名の大主は、主人を野遊びに誘ってだまし討ちにする。天願の按司の遺児千代松と乙鶴の兄妹二人は、従兄弟にあたる久志の若按司を頼って逃れていくが途中で捕らえられてしまう。天願の按司が討たれたことを聞いた久志の若按司は千代松、乙鶴を助けに向かう。東恩納番所に宿をとっていることを知り、二人を救い出す。二人を捕らえていた謝名の大主の下臣、富盛の大主は心を改め久志の若按司と計略をめぐらし、謝名の大主が久志城を攻めてくるところを討ち果たすという内容です。
 物語の背景は、具志川城から石川・久志一帯であります。字久志には、久志の若按司の墓、上里城(久志の城)があります。
 この組踊の人気は何といっても久志の若按司の若々しい凛とした正義感が醸し出す緊張感とさわやかさにあるようです。そして久志の若按司と供二人の道行の場は、口説、龍落しにのせて切れのある立ち廻りが見どころであります。この場面は独立して舞台舞踊としても上演されます。
 地元の字久志をはじめ与那国、久米島、伊是名の離島を含め広く分布していますが、読谷村では字伊良皆、字座喜味、字瀬名波、字宇座に伝承されております。伊良皆と宇座では明治期から盛んに上演され、現在でも地域を代表する伝統芸能であります。また、伊良皆は台本をはじめ資料を編集した『伊良皆の組踊 久志ヌ若按司』を平成五年に発行しました。
文・文化振興課 長浜 真勇

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