読谷の自然(111)昆虫類【チョウ類】50~クロボシセセリ
(セセリチョウ科)
前翅の長さが一六~二三㎜の地味な色彩のチョウです。後翅にある五個の黒点が特徴で、これで他のセセリチョウと区別できます。インド、東南アジア、中国、台湾に分布し、日本では奄美諸島以南の島に分布しています。成虫は一年中見られます。市街地周辺にすみ、ヤシが植栽された公園や校庭でよく見られます。成虫は朝と夕方に活動します。飛び方はすばやく、センダングサやランタナの花で蜜を吸います。食草はヤシ類で、幼虫は葉を糸でつづり合わせて巣をつくります。多くのヤシ類につきますが、シンノウヤシやワシントンヤシを好みます。
本種はもともと沖縄にいませんでしたが、一九七三年に石垣島で、一九七五年に宮古島で、一九七八年に沖縄島で発見されました。発見場所はいずれの島も港の近くでした。一九七〇年代に台湾などからヤシ類が大量に輸入されており、本種はこれらのヤシに付いて沖縄に持ち込まれたと考えられています。人間によって連れてこられたにもかかわらず、ヤシの害虫として悪者扱いされるのはクロボシセセリにとって迷惑なことでしょう。
文・写真
沖縄県ミバエ対策事業所
小浜継雄