読谷の自然(112)昆虫類【チョウ類】51~ウラナミシジミ(シジミチョウ科)
前翅の長さが一五㎜ほどの小さなチョウで、イワカワシジミのように後翅の先端に尾のような細長い尾状突起が見られます。また、その付け根にはくっきりとした目玉模様が二つあり、これは本誌№五四二号で紹介した「おとりの頭部」で、外敵(捕食者)から身を守るためのものです。
成虫は年中海岸線や荒れ地などで普通に見られます。幼虫の食草は海岸近くにはえるハマナタマメやハマボッスなどで、他にフジマメにもよくつきます。
本種の幼虫期間は他の種よりも短いとされ、これは本種の生息する海岸線や荒れ地などは、気候の変動等でしばしば大きく変化することがあり、こうした環境変化に適応して種を存続させるために身につけた繁殖能力と言えるでしょう。
また、本種は移動能力が高く、国内では琉球列島から関東まで分布し、国外では北アフリカ、ヨーロッパ中部、東南アジア、オーストラリア、ハワイなど世界各地に広い範囲で生息しています。
村内では残波岬周辺や渡具知などの海岸線で普通に見られます。
文・沖縄県立博物館
嵩原建二
写真
沖縄県ミバエ対策事業所
小浜継雄