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2005年10月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能7 組踊(6) 忠臣身替わりの巻

読谷の民俗芸能7
組踊(6) 忠臣身替わりの巻

 「忠臣身替わりの巻」は、読谷村字高志保、字儀間、字喜名、字楚辺に伝承され、県内でも伝承地が多い組踊です。
 あらすじは、八重瀬の按司は玉村の按司の夫人の美貌に心を奪われ、玉村の按司を殺すが夫人は按司とともに死ぬ。遺児若按司は勝連の平安名大主のもとに逃れ身を隠す。玉村の頭役里川の比屋の長男亀千代は自分が若按司と年格好が似ているとして、若按司の身代わりとなり、八重瀬の城に乗り込む。八重瀬の按司の油断を突いて、若按司、平安名大主、波平大主が旧臣を集めて八重瀬の按司を亡ぼす、という内容です。亀千代は、昔今帰仁城が本部大腹に攻められ、七重八重に囲まれた折り、臣下の一人が城主の身代わりになって敵軍に向かったという故事に習って、計略をめぐらしたのです。
 ところで、このような敵討ちをテーマにした組踊で見落としてはならないのは、家族愛が地下水脈のように流れていることです。亀千代も母と弟との別れがありますが、作者は、親子、兄弟の別離の情を「東江節」の大曲でもって切々と訴えています。そして亀千代が勝連に向かう道行きの場面に「長金武節」を当てていますが「是までよとめばふやかれる袖に落ちる白玉や包で包まらぬ」の歌詞は文学的にも味わいがあります。また、亀千代に縄をかける吉田の子のどうしようもない口惜しい心境を伊野波節で歌い上げ「静」から後半の「動」へとつなぐ演出がみられます。
 この組踊は、一名「八重瀬」の題目でも親しまれていますが、波平大主の道行の場面を抜粋して踊られる「八重瀬の万歳」は人気があります。波平大主の、人の道を説く覚悟を極めた唱えと口説の音曲が相まった緊張感のある舞台に観客は知らずのうちに、拍手とヤグイ(掛け声)を送ります。
 字高志保、字楚辺などにいつ頃伝わったかはっきりしません。字高志保では昭和一二年に上演され、戦後は昭和六二年に復活上演、平成一二年には配役を一新して上演され後輩に継承されました。
  文・村立歴史民俗資料館
         長浜真勇

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