読谷の自然(114)昆虫類【チョウ類】53~カバマダラ(マダラチョウ科)
翅を広げると38㎜内外のマダラチョウの仲間で、屋敷のまわりや公園など開けた場所でしばしば見られます。本種の発生時期は3月から12月頃までで、幼虫はトウワタやフウセントウワタなどガガイモ科の植物を食草としています。このガガイモ科植物は大部分がアルカイド系の毒を有しており、本種は幼虫時代からこれらの植物を食べ、成虫になっても体内にこの有毒物質を保持します。また、翅の色は淡黄色味のある明るい橙色で、目立つ色彩を持ち、捕食者に危険を知らせる「警戒色」をしています。捕食者にとって有毒でまずい昆虫は、ほとんどがこうした警戒色を呈します。面白いことに、毒をもたないのにこうした有毒のチョウに姿を似せて(擬態)、身を守るチョウがいます。これらがツマグロヒョウモンやメスアカムラサキ(メス)などで、これを「ベイツ型擬態」と呼びます。こうした種は外敵からもあまり攻撃を受けないことが知られています。
本種は琉球列島では奄美諸島以南で生息し、アフリカ、チモール島、東南アジア、オーストラリアまで広い範囲に分布します。
文・沖縄県立博物館
嵩原建二
写真
沖縄県ミバエ対策事業所
小浜継雄