読谷の自然(116)昆虫類【チョウ類】55~ナガサキアゲハ(アゲハチョウ科)
沖縄に生息するアゲハチョウの仲間では最大のチョウで、翅(はね)を広げると90~110㎜にもなります。雄(オス)は翅全体が黒色ですが、雌(メス)は黒地に大きな白斑がよく目立ちます。そして、この白斑は南にすむ個体ほど大きくなっていきます。
本種は屋敷のまわりや公園などに植えられたブッソウゲの赤い花やトックリキワタの薄紫の花にも良く集まりますが、森林地域沿いの林道そばなどに野生化したインパチェンスが群生しているような場所にもよく吸蜜に訪れます。成虫の発生時期は2月から12月で、幼虫はシィークワーサーなどミカン科の植物を食草としています。
本種は、近畿以南(兵庫県や和歌山県など)から琉球列島を経て、東南アジアまで広い範囲に分布していますが、最近では静岡県や神奈川県など中部から関東地方でも定着や確認記録が見られ、これは、地球温暖化にともなう分布拡大であろうと考えられています。
本種は本村でも公園や住宅地、低地の森林地域林縁などで普通に見られます。
文・沖縄県立博物館
嵩原建二
写真・宮古島市総合博物館
砂川博秋