読谷の自然(118)昆虫類【チョウ類】57~タイワンクロボシシジミ(シジミチョウ科)
前翅長が12㎜内外と小さなチョウで、シジミチョウ特有の白地に小さな黒斑があり、触角や足にある白いリング状の模様がよく目立ちます。翅の表は一様に黒褐色で、後翅には小さな尾状突起を有しています。
幼虫はアカメガシワやクスノハガシワなどを食草としており、そのつぼみや花、若い果実の部分を利用します。成虫は周年発生し、アカメガシワが生えるような林縁部で多く見られ、アカメガシワの花などでよく吸蜜します。
本種は本来東南アジアに分布するチョウで、県内では八重山諸島に古くから定着しています。その後、分布域を北上させ、1971年には宮古諸島、1972年には沖縄島、そして、1975年には奄美諸島まで分布を広げ、現在では鹿児島でも観察されています。このことから地球温暖化に伴う分布拡大であろうと考えられています。
村内でもアカメガシワなどの食草の多い海岸林や広葉樹林の林縁などでふつうに見られます。
文・沖縄県立博物館
嵩原建二
写真・宮古島市総合博物館
砂川博秋