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2006年5月発行 広報よみたん / 11頁

読谷の民俗芸能14組踊(13)本部大腹

読谷の民俗芸能14組踊(13)本部大腹

「本部大腹」は、字長浜に伝承されておりますが、いつ、どのような経緯で字長浜に伝えられたかはっきりしません。字長浜では、大正の初期頃からその後戦前は昭和15年ごろまで、戦後は昭和四五年ごろに一度だけ演じています。
 この組踊は、伝承地域が限られており、字長浜だけではないかと思われます。商業演劇の新聞広告の題目にも見当たりません。恩河朝祐という人が明治三一年に書き書き写した資料を見ると、首里大中村の老人たちの合作であります。
あらすじは、本部大腹は北
山地方を我がものにするため北山城主を滅ぼした。若按司虎松は母親、妹乙鶴そして守役奥松ともども国頭に逃がれていく。途中、守役の実家のある大宜味伊野波村で一夜を明かす。守役の父親伊野波下庫理は、虎松親子を捕え出世することをたくらむ。父親を諭す奥松は父親に殺されてしまう。虎松親子は捕えられ、北山に向う途中ある村に泊まることになる。 我が子を殺され、夫の野望を許せない伊野波の妻は虎松親子を連れて逃れようとするが伊野波に見つかり夫の手にかかる。一方、平敷大主は主人の仇を討つべく今帰仁をめざす。平敷大主は天底村で泣き声に気づき、虎松親子に間違いないと確認し伊野波を呼び出し成敗する。虎松は、平敷大主と力を合わせ北山に乗り込み本部大腹を討つ、という内容です。
 全体的な展開は、これまで
ご紹介した仇討物と同じですが、若按司をめぐって夫婦、父子が敵対するという独特の展開があります。伊野波下庫理の生き方には、組踊のせりふで使用される「人の望み事絶えらんこの世界の習や」という言葉が頭をよぎり、現在の不幸な世相の一部を垣間見る思いがします。
 
伝説によると、今帰仁城を巡って二度の反乱があったが、そのどちらにも「本部大腹」の名が出てきます。大中の老人たちは、今帰仁方面の歴史、地名を周到に調べた上でこの組踊を仕上げたと感じられます。
 文・村立歴史民俗資料館
        長浜真勇

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