読谷の民俗芸能 22 狂言 (1)チョンダラー
シリーズ、20回、21回にわたって「チョンダラー(京太郎)」という言葉が出ていましたね。チョンダラーとは、「京」からやって来た「太郎」という意といわれ、人形劇をはじめ祝福芸や狂言などを演じた京伝来の芸能集団、あるいは芸能そのものをさしています。「絵姿女房伝説」が民話として語り継がれており、その由来を知ることができます。
字長浜にも「チョンダラー」が伝承されており、昭和53年第8回読谷まつりにおいておよそ50年ぶりに復活上演されましたが、伝承年代ははっきりしません。
「チョンダラー」と言えば沖縄市泡瀬、宜野座村字宜野座などが有名ですが、県内にはまだ伝承地があり、私が調査したかぎりおおよその「チョンダラー」が劇仕立てであることがわかりました。字長浜のあらすじは「3人の男が飲み食い代を捻出するために、太鼓打ち、馬舞者、寺廻者という京太郎に扮して国頭方面に向かう。三人の噂を聞いた偽チョンダラーの取締役であるヤンザイ頭は手下と二人で捕らえに行く。三人は名護でチョンダラー芸を演じている最中にヤンザイ頭に見つかってしまう。馬舞者、寺廻者は捕らえられるが、太鼓打ちは音に聞く強者だったので、逆にヤンザイ頭をやっつける」という内容です。
特徴的なことは、操り人形の舞台となる破風型の「てぃら(寺)」と施し物の豆などを入れる「ヤンザイブクル(角袋)」を持つこと、「ハッチブラー」と呼ぶ仮面を被ること、また、ヤンザイ頭の登場は、偽チョンダラーを取り締まる制度が敷かれ、「チョンダラー」が首里王府の許可制であったことを物語ることなどです。
ところで本土では元旦に獅子舞や万歳芸を演じて門付をする光景をよく見かけますが、チョンダラーも元々は正月に祝福芸を演じていました。この一年が芸能のもつ文化力によって人々の健康と社会が明るくなる事を念願します。
文・歴史民俗資料館 長浜 眞勇
写真説明 長浜のチョンダラー 中央「太鼓打」向って左「馬舞者」右「寺廻さ」両端「ヤンザイ頭」