読谷の民俗芸能 23 舞踊(7)フェーヌシマ
県内にはおよそ30程の「フェーヌシマ」系統の芸能が「フェーヌシマ」、「ペン島」、「ダートゥーダー」、「サングルロー」「ショウジョウ」などの名称で伝承されています。長髪のかつらを被り一見特殊な扮装で、素手の踊り、棒踊り、アクロバット的な雑技などで構成されているのが一般的です。ときたま、「ウー」と低い声で、またかん高い「ウィー!」というかけ声も珍しいです。
読谷村では、現在字儀間のみで演じられています。いつの頃から踊られたかはわかりませんが、昭和初期までムラアシビで演じていました。その後60年間ほど途絶えていましたが、平成3年に復活し第17回読谷まつりに出演しました。儀間の皆さんは、3年にもわたる伝承者同士の技の確認、資料などの調査活動、他の「フェーヌシマ」の鑑賞会などをとおして見事な復活作業をこなされました。村内では、字長浜にも伝承されていたといわれ、字楚辺では、新聞記事によると少なくとも明治40年までは踊られていたのです。
字儀間の「フェーヌシマ」の構成の概略は次の通りです。
① 2人の歌い手がミンタリー傘 を被り、アワセガニを打ちな がら登場。
② 長い赤髪のかつらを被りウッ チャキ衣装の踊り手による素 手の踊り。
二列縦隊に並んで向き合いお互いに右手を掛け合う、両手を前に突き出して片足跳び、両手を斜めに挙げるなどの動作。
③ 三尺棒をもつ棒踊り
あたりを棒で払いそのつどジ ャンプ、棒をあわせるなどの 動作のあと、お互いに逆さに 組み合い、順に宙返り(バク転)。 (この技を「サールーゲーイ」 と呼ぶ。ただし今は簡略され ている)
④ 出羽同様、二人の歌い手が退場。
「フェーヌシマ」に使用される音楽は中国系、大和系があるといわれ、歌詞も意味不明な部分が多いです。字儀間の「フェーヌシマ」は、中国系の音楽であると言われています。伝来についても南方説、北方説があり、音楽、扮装、技などもそれぞれ多彩な顔を持っており、また、これまで紹介したチョンダラー・ニンブチャー芸能の影響も含め、まだまだ研究が待たれる芸能といえるでしょう。
文・歴史民俗資料館 長浜 眞勇