読谷の自然(130)
昆虫類 69~タイワンエンマコオロギ~(コオロギ科)
大きさが30mm内外の大型のコオロギ類で、平地から山地にかけての草丈の低い草原や畑地、裸地などに生息し、石の下や枯れ草の下、地面にあいた穴などに潜んでいます。
「エンマコロギ」という名前の由来は、顔を正面から見ると閻魔(えんま)大王をくまどりしたような黄褐色のまゆげ状の模様が見えることから名づけられたようです。
成虫はほぼ周年見られ、1世代目の成虫は3~6月に、2世代目の成虫は7~11月に現れます。雑食性でいろんな餌を食べますが、動物質の餌を好みます。
雄は昼夜ともに鳴き、普通はコロリーリー、コロリーリーと鳴きますが、雌の近くで求愛するときにはルールーとやわらかく発音します。
エンマコオロギの雄が出すこの鳴き声は、右前羽(前翅)裏にある「ヤスリ器」と呼ばれる器官を、左前羽(前翅)にある「摩擦(まさつ)器」と呼ばれる器官にこすり付けて音を出します。
本種は国内では三重県以南の本州、四国、九州、琉球列島に、国外では中国、台湾、東南アジアに分布しています。県内の各島で最もふつうに見られるコオロギのひとつで、村内でも畑地などでよく見られます。
文 :嵩原建二
(県立名護養護学校)
写真:小濱継雄
(県農業研究センター)