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2007年6月発行 広報よみたん / 15頁

読谷の民俗芸能 27舞踊(9-3)各字の長者の大主

読谷の民俗芸能 27舞踊(9-3)各字の長者の大主
 
「長者の大主」で一番多い形が長者の口上と孫たちの「かぎやで風」の舞踊が組み合わされた構成です。この基本的な形は、字波平、字喜名以外のそれこそ読谷村の各地域で盛んに演じられていましたが、現在では「かぎやで風」の舞踊だけが残っている地域がほとんどです。ここでは字長浜の内容をご紹介しましょう。
 字長浜では、村アシビの最初に演じられる「棒」の次に踊られます。村のかりゆし、子孫繁じょうを願って演じられ、長者の大主の役は大変人気があったといわれています。
 長者のお供である孫たちの役は初めて村アシビを演じることを許された十五歳の若者たち全員が当たりました。多い年は三〇名程を数えることもあったようです。字長浜では、大正年間にはすでに演じられていましたが、発生、伝承年代ははっきりしません。
 展開は次のとおりです ※手事(ティグトゥ・出羽、入羽 に使用する)
 上四合尺上四合尺上中工○
 五中工○中工上(くり返し)

※長者の大主が孫たちを引き連れ て登場する。
 
杖を左に持ち、右手にもった  扇で大きく扇ぎながら舞台を一 周し、正面に向いて座る。

※長者の唱え
 ハァーウートートゥ
 
我んやくぬ村ぬ長者ぬ大主
 
今年から初み御世ん 改まてぃ
 ふたかちやぬ御世ん打ち向か  てぃ来りば
 くぬちゃ年取てぃんふくらさる あゆる
 
くぬ嬉しさや物に例ららん
 子孫ぬ達引ち連りてぃ
 
遊び羽立てぃてぃ 踊てぃ御目 かきら
 
(長者の大主後ろ向きに孫達に 言う)
 
トートー 子孫ぬ達 
 
御前にゆしりやい 踊てぃ御目 かきり

※孫達の「かぎやで風」の踊り(歌 詞は「今日ぬ・・・」)

※踊り終わると長者の大主の唱え
 
トートー 子孫ぬ達 出来た出 来た
 蕾居る花ぬ咲ちゃる美らさ

※手事で帰る

 以上の流れは、中断している地域でもおそらく同じような内容であっただろうと思われます。

  文・沖縄藝能史研究会会員
         長浜 眞勇

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