読谷の自然
クロイワニイニイ
沖縄島と奄美大島及びその周辺地域に生息するニイニイゼミの仲間です。大きさ(全長) は、オスで27~29ミリ、メスは29~32ミリ程度と、ニイニイゼミに比べるとやや小型です。体の色はやや緑がかりますが、羽の色は淡茶褐色で樹皮に近い色をしており、これが保護色となって鳴いていても見つけにくいセミです。
沖縄島における出現は、4月下旬からリュウキュウマツ林などで「チィー・・・」と鳴き始め、6月から7月頃が最盛期になります。中には出現の遅い個体も見られ、10月下旬頃まで鳴き声を聞くことがあります。方言名は一般的にシーミーグワーとかジージーグワーと呼ばれ、シーミーグワーはシーミーの時期に鳴くことから、ジージーグワーは鳴き声に由来しています。
沖縄島では本種の分布域は広く、低地林から山地まで生息しますが、山地域では同所的にニイニイゼミと生息分布が重なります。本州にもいるこのニイニイゼミは日本特産種ですが、クロイワニイニイは琉球列島のみ生息する固有の種です。
なお、「クロイワ」というの名前の由来は、本種の発見者で沖縄の動植物学者で国頭農学校校長でもあった黒岩恒氏にちなんでつけられています。
村内でも座喜味城跡のリュウキュウマツ林や親志、伊良皆などの雑木林などで普通に鳴き声を聴くことができます。
文・写真:県立美咲養護学校教諭 嵩原建二