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2007年7月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能28 舞踊10 四季口説

読谷の民俗芸能28 舞踊10 四季口説

「若衆踊」のひとつに「四季口説」があります。「若衆」とは、元服前の若者をさします。読谷村の各字では「二才踊り」と呼ぶのが多いようです。
組踊「執心鐘入」のなかで宿の女の詞章(せりふ)に「七つ童べたる年頃の里に」ということばが出てきます。若松のことですが、宿の女はいわゆる十四歳頃の若者といっているわけです。若松は前髪を結い、飾り花をさし、華やかな紅型衣装に大きな蝶結びの帯を締めており、一見女装にも見えます。
「若衆踊り」の魅力は、なんといっても、未来に希望を予感させる若者のはつらつとしたふん囲気にあると思います。ムラアシビでもどちらかといえば前半に踊られるのが一般的です。
「四季口説」の歌詞は次の通りです。

一、さても(ティム)めでたや 新玉(アラタマ)の春(ハル)は心(ココロ)も若(ワカ)がへて四方(シホウ)の山辺(ヤマベ)の花盛(ハナザカ)り
(のどかなる代(ヨ)の春(ハル)を告(ツ)げ来(ク)る深(ミ)山(ヤマ)うぐいす)
二、夏(ナツ)は岩(イワ)間(マ)を伝(ツタ)へ来(キ)て 瀧(タキ)つ麓(フモト)に立(タ)ちよれば、熱(アツ)さ忘(ワス)れて面(オモ)白(シロ)や
(風(カゼ)も涼しく(スズシク)袖(ソデ)に通(カヨ)いて(イ )夏(なつ)もよそなる山の下(ヤマ シタ)かげ)
三、秋(アキ)は尾花(オバナ)が打ち招く(ウ マネ )園(ソノ)のま垣(ガキ)に 咲く(サ )菊(キク)の花(ハナ)の色々(イロイロ) めずらしや
(錦(ニシキ)さらさと思(オモ)うばかりに秋(アキ)の野原(ノハラ)は千草(チグサ)色(イロ)めく)
四、冬(フユ)はあられの音(オト)添(ソ)へて 軒(ノキ)端(バ)の梅(ウメ)の初(ハツ)花(ハナ)の 色(イロ)香(カ)も深(フカ)く(く) 愛(メ)であかぬ
(花(ハナ)か雪(ユキ)かと如(イ)何(カ)で見(ミ)分(ワ)けん雪(ユキ)の降(フ)る枝(エ)に咲(サ)くやこの花(ハナ))

舞踊の題名が示すとおり、四季折々の風情を、和文学の七五調で歌っています。古典音楽工工四では「節口説」と書かれています『嗣周・うたまくら』(宮城嗣周著)には「私が四季の字を当てました」と書いてあります。地謡と踊り手のハヤシが織り成しながら音楽的に語られる様子は春夏秋冬をパノラマ風に映し出してくれます。
踊りの面でいえば、口説物の特徴とも言えると思いますが、両手に扇子を持ち、写実的な振りで踊られます。最近は児童生徒がよく踊る演目として人気があります。
観音の拍子は、踊りの素晴らしさと共に次代を担う踊り手の子ども達への激励の拍手にも聞こえます。
「若衆」ということばを考える上で、字高志保でおこなわれていた「ジュウゴユーエー」(十五歳祝)は興味深いです。
「四季口説」は、字大湾が平成 年第 回ユンタンザムラアシビで復活し、字渡具知、字古堅、字伊良皆、字喜名、字楚辺、字高志保、字渡慶次などで踊られました。

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