読谷の民俗芸能 29 舞踊(11)こてい節
「こてい節」は「特牛節」と書き「クティブシ」と発音します。音楽は、古典音楽御前風五節の一曲です。残波岬に「こてい節」の歌碑が立っていますが、この歌は読谷から出た歌なのです。歌碑には「大北の牡牛や なじち葉ど好ちゅる わした若者は花ど好ちゅる」(大北(読谷の古名)の頑強な牛はハイキビが好きだ。我ら若者は、娘たちが好きだ)と刻まれています。残波の雄大な景色と若者達の平和を愛する心意気に満ちた歌です。読谷まつり「赤犬子琉球古典音楽大演奏会」でも定番の歌です。
さて、「こてい節」の踊りには、若衆踊りと女踊りがあります。「若衆踊り」は字渡慶次、字座喜味、字大湾に伝承されています。「ときわなる松の かわることないさめ いつも春来れば いろどまさる」という歌詞で踊られています。一年を通してまばゆい緑の枝振りを見せる松の生命力を寿ぎ、それにあやかろうとする、人々の生命の再生を願っています。正月の門松にもそのような意味があります。
踊りの形は、実演家のものとほぼ同じですが、ただ、出羽の仕方に大きな違いが見られます。実演家の場合は笛と太鼓のみを使用しますが、読谷村の各字では三線の手事で出てきます。扇を一本持ちます。また、扇子の扱い方や、姿背(体の向き)など細い点に微妙に違いがみられます。
次に女踊りについて述べましょう。
元々は組踊「大川敵討」の主人公「乙樽」が劇中で踊っているのを、「女こてい節」として独立させた踊りです。こちらは団扇(軍配)を持ちます。字渡慶次には、平成一七年九月一日付でご紹介したように、組踊「大川敵討」が伝承されていますので字渡慶次では「女こてい節」もみることが出来ます。
文・沖縄藝能史研究会会員
長浜 眞勇