読谷の自然
リュウキュウアブラゼミ
沖縄諸島と奄美諸島にのみ生息する琉球列島固有のアブラセミの仲間です。成虫の大きさ(体長) は、36-43ミリメートルと比較的大きいセミで、翅(はね)の色は濃い茶褐色でまだら模様をしています。セミの多くは透明の翅を持っていますが、アブラゼミ類は前後翅とも不透明の褐色で、世界でも珍しい翅全体が不透明のセミです。
市街地の緑地公園から低山地の森林地域まで広い範囲にすんでおり、木々が生い茂る薄暗い林森を好みますが、山奥ではみられません。成虫の出現時期は6月上初旬から10月下旬。8月の真夏には個体数が一時減りますが、9月には再び数が増え、また鳴き声がよく聞かれるようになります。鳴き声は「ジリジリジリジー・・・・」という数秒ほどの鳴き声を繰り返し、だんだんと声を大きくしながら鳴き、ジーイッと突然鳴き止んでしまうような鳴き方をします。鳴き止むと、飛んで、別の木に移り、またそこで鳴きます。
この鳴き声がなべの底にこびりついている汚れを落とす音に似ているため、方言名では「ナービ(ナベ)カチカチ」と呼ばれています。なお、本土に生息する「アブラゼミ」の「アブラ」は、鳴き声が油を揚げる音と似ていることに由来します。
村内でも伊良皆や親志などの森林地域などで普通に生息し、鳴き声を聞くことができます。
文・写真:県立美咲養護学校教諭 嵩原建二