特別支援教育ゆんたく広場「めばえ」
◇ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもたち
子どもたちの中には、行動面や物事を理解する認知面、自分の感情をコントロールする情緒面の発達があまりにも個性的で、時として相手にイヤな思いをさせてしまう子がいます。このために他人との関わり合いや日常生活に著しく支障が出る場合は、この子の特性を発達障害と理解して、適切な支援が必要となります。
その特性の一つにADHD(注意欠陥多動性障害)があります。その特徴は次の3つに分けられます。
①ひとつのことに集中していられない「注意欠陥」:不注意なまちがいをしたり、授業やあそびなど一つのことに集中していられない。忘れ物が多く、物をよくなくす等。
②じっとしていられない「多動性」:授業中や集会などで、歩き回る。しゃべってはいけないところでおしゃべりをやめられない等。
③頭の中で考える前に行動してしまう「衝動性」:行動の結果を想像することが苦手なため、周囲が困るような行動をしてしまう。順番を待てない等。
よくみてみると、だれでも日常的にやってしまいがちなことだと思いませんか?通常、私たちは脳の機能として、自分の行動やその結果を予測し、相手が今どう思っているかをうまく感じとることで、トラブルをさけながら日常生活を営んでいます。しかし、なんらかの影響で脳の機能がうまく働かなくなっている場合は、どうでしょうか?自分ではそんなつもりではないけれども、人を困らせてしまう・・・そのくりかえされる行動で周囲からは「変わった子」「わがまま」「乱暴な子」だと誤解されてしまう。本人もなぜなのか分からないため、心の中でとても悩み、苦しんでしまいます。
でも、私たちがその特性をほんの少しでも理解し、仲間として認めてあげることができれば、彼らのもつ「世の中の常識にとらわれない豊かなアイディア」と「何かに積極的にチャレンジする発想のおもしろさ」が、人を幸せにすることだってできるのです。その生まれながらに備わる豊かなプラス面を伸ばすためにも、その特性を知り個性として認めてあげる周囲の「心のめばえ」が今、必要なのです。