読谷の自然 137
昆虫類 76
~クロイワツクツク~ (セミ科)
八月に入ると、騒がしく鳴いていたクマゼミの声もあまり聞こえなくなり、かわって八月下旬からクロイワツクツクが鳴きだします。このセミは十一月下旬まで鳴いています。体長は二十三から三十七ミリメートルで、九州南部から沖縄諸島にかけて分布します。島ごとに鳴き声が少しずつ違い、鳴き声に方言があることが知られています。たとえば、渡嘉敷島と沖縄本島では、このセミの鳴き声に違いがあります。
平地のセミで、市街地の公園やその周辺の林にすんでいます。ジィーワッ、ジィーワッと、朝から夕方まで鳴いています。沖縄の方言名「ジーワ」は、その鳴き声からきています。沖縄本島では、もともと、個体数が多いセミでしたが、最近の十年くらいの間に、本島中南部の市街地ではその数が激減し、全くみられなくなった地域もあります。なぜ個体数が少なくなったのか、その原因はわかっていません。
このセミの声が聞こえるようになると、夏休みもそろそろ終わりです。宿題を片付けなければならない子どもたちには、セミの声がワージ、ワージと聞こえるかもしれません。
文 沖縄県農業センター
小浜 継雄
写真 県立美咲養護学校
嵩原 建二