体長が雄で30~53
mm、雌で30~45
mmのカブトムシで、オス、メスともに一本の小さな頭角を持っているため、別名サイカブトと呼ばれます。体色は黒褐色から赤褐色で光沢があり、前胸上部がくぼんでいます。成虫は三~十二月まで見ることができます。幼虫は堆肥などの腐植物の中で育ち、畑に堆肥やバガスケーキを積んでおくとその発生源になります。
原産地はインド周辺とされ、他にもモーリシャス、インドシナ半島、台湾、中国南部、フィリッピン、パラオ、ハワイなど世界各地に侵入し、広い範囲に分布しています。
国内でも人為的に持ち込まれた「外来種」として南西諸島の奄美諸島以南に生息しています。県内では一九二一年(大正十年)の石垣島における国内で初めての確認以降、ほぼ全域に分布しています。県内ではヤシ類の害虫としてよく知られ、公園の緑化木や街路樹として植栽されたココヤヤシやワシントンヤシなどを加害し、枯死させてしまいます。
しかしながら、一方で最近の研究では、幼虫の持つタンパク質の一部に強い抗菌作用がある物質が見つかり、薬剤開発に向けての研究が行われています。まさに害虫が一転し、人間にとって有用な昆虫としての利用の期待が持たれています。
村内でも農耕地近くにある民家や緑地公園の外灯などに飛来してきた個体をしばしば見かけることがありますが、ヤシ類の食害についてはそう大きな被害はでていないように思われます。
文・写真 県立美咲養護学校
嵩原 建二