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2008年3月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能36 舞踊(17) 仲里節

読谷の民俗芸能36 舞踊(17) 仲里節

 再び、”四つ竹踊り”を紹介しましょう。今回は字儀間に伝承する「仲里節」です。仲里節といえば、男女で華やかに踊る”打組踊り”を思い起こしますね。沖縄芝居では、演劇などの前に踊る、前踊り(メーウドィ)”として人気を博しています。しかし字儀間の場合は、女性だけで四つ竹を持ちゆったりと踊るのです。
 字儀間では、戦前までムラアシビで演じましたが、戦後は、一九九四年座喜味城跡における第三回ユンタンザムラアシビでおよそ五〇年ぶりに復活しました。平成一五年第一二回読谷村婦人会演芸のつどいでは踊り手を増やししっかりと継承されています。ただ、いつ頃から踊られ、どこから伝わったのか、あるいはどなたが振り付けたのかは不明です。
 音楽は、古典音楽・民謡でおなじみの仲里節を使用し、歌詞も同じです。衣装は、紺地にかすり模様の着物に、下から赤い胴衣(ドゥジン)を着け、白たびをはき、頭にはコウタチの飾り物に紫の長巾をしめ背にたらします。着物は右袖を抜くのが特徴です。このスタイルは、「かせかけ」「むんじゅる一」でも見られますが、舞踊では、袖を抜くことは労働を表現する着付けです。男女打組の「仲里節」の男性の粋な姿にヒントを得たのか、あるいは、「かせかけ」などの影響があるのかよくわかりません。
 踊りは、二人向かい合い座って踊る場面があることから二人一組で踊ることを想定して振り付けたと伺えます。随所に座る動作が散りばめられているところはこの踊りの特徴のひとつです。
また、片手の動きが先行し、その後両手の踊りが見られるのも味わい深いです。そのほか”四つ竹踊り”によくある振りですが、両手を交互に上下に振る、そして前で両手を交差させ内から外に広げる動作が織り込まれています。全体的にさわやかで縁起ものである印象を感じる踊りです。
 二回にわたって四つ竹を持つ踊りをみてきましたが、この他に、字喜名にはスローテンポで踊るところがら二ーブイ天川と呼ばれた「喜名天川」が伝承されていました。おそらく天川節が使用されたと思われます。字伊良皆には「花風」という題名が残っており大変興味が湧きます。字渡慶次には、中城はんた前節、瓦屋節で踊る「四つ竹」、字宇座、字高志保、字渡慶次には「踊りくはでさ」がありました。
 このように”四つ竹踊り”は、各字にそれぞれ独特な内容で多彩に演じられたことがわかります。まだまだ眠っている演目が足下にあるかもしれません。

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