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2008年5月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能38 舞踊(19) 松竹梅

読谷の民俗芸能38 舞踊(19) 松竹梅

 明治40年、玉城盛重は「松竹梅」を創作しました。その後盛重の甥の盛義が鶴・亀の踊りを加えさらに曲目の変更などを経て現在の形にかたまったのです。
南城市知念字知名の「松竹梅」は、まず松・竹・梅のそれぞれの踊りの後、夜雨節で三人の総踊りがあります。このことは鶴亀が加わる以前の形かも知れません。
 読谷村では、字波平、字楚辺、字瀬名波、字宇座に伝承されています。
 踊りの全体の構成は、字波平・字楚辺が松(揚作田節)、竹(東里節)、梅(赤田花風節)、鶴亀(黒島節・ソンバレ節)、総踊り(夜雨節・浮島節)という組立てです。字宇座は、この流れに総踊りで伊集早作田節が加わり、字瀬名波は鶴亀の踊りに浮島節があり、総踊りは夜雨節の使用はなく伊集早作田節のみという組合わせです。読谷村の各字の場合は、鶴亀の踊りで黒島節・ソンバレ節を使用していることや、松・梅の踊りで下句のくり返し部分があることは古い形を留めているといえましょう。
 この踊りは、字毎に特徴がみられる踊りです。
【字波平]
○松と竹の出羽に袖で一回立ち直りがある。
○総踊りで上手、下手に別れた踊り手が交差する組み合わせがない。
○入羽の直前に舞台正面で梅を中心に左右から松・亀、竹・鶴が向うポーズがある。
○入羽の見どころとして角切り(舞台上を斜めに使用すること)で幕に入らないで下手で直線に並びスゥーとすみやかではなく、一歩ずつ進む。
[字楚辺]
○全体的に実演家(舞踊研究所)の踊りを彷彿させる。組踊りで梅と鶴亀が向き合う場面がみられ、梅の手踊りがある。実演家の踊りでもこの部分はあるが、読谷村の各字には見られない。
[字瀬名波]
○松の踊りが松の技を、竹の踊りが竹の技をもつ。
○振りの特徴は、鶴・亀が扇子を前方で上下にゆらしながら登場する。
○鶴亀の踊りが終わると”となえ”が次のとおりある。
・鶴→鶴は千年…/・亀→亀は万年…/・松→二葉から出でて…/・竹→肝のもてなしや…/・梅→梅だいんす雪に…
[字宇座]
○全体の構成は、総踊りの浮島節までは字波平、字楚辺と同じであるが、その後字瀬名波同様、となえ”があり、伊集早作田節にのせて再び総踊りがある。大体以上のことが目につきますが、各字共通していることは、梅の踊りで手を梅の被り物にふれることです。
「松竹梅」は、人の道、願望を象徴する祝儀舞踊です。松は子孫繁栄、竹は節理、梅は忍耐、鶴亀は長寿を表現しています。それぞれに松・竹・梅・鶴・亀を形どった被り物をを被り総踊りは華かさと振かさが調和し、観客に躍動感を与える踊りで人気の高い舞踊のひとつです。

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