読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

2008年12月発行 広報よみたん / 15頁

読谷の自然(151) 昆虫類 90 ~オキナワノコギリクワガタ~(クワガタムシ科)

 男の子に人気の高い虫です。沖縄ではハサマー、ウマバサンなどの呼び名があります。これは大あごで、はさむことからきています。発達した大あごをもっているのはオスだけで、大あごはオスどうしの闘いに使われます。体長はオス3~7センチメートル、メス約3センチメートルで、オスの大きさは個体によってずいぶん違います。体の色は茶色と黒色の二タイプあります。沖縄本島とその周辺の離島(伊平屋島、慶良間など)にいます。成虫は6月から8月にかけて活動します。6月下旬から7月中旬ごろが活動のピークで、この時期、いいポイントであれば、一晩で100匹以上の個体を見ることができます。成虫はおもに夜に活動し、シークァーサーやゲッキツなどの樹液をなめに集まってきます。灯りにも飛んでくるので、市街地でも近くに林があれば、公園や民家の灯りの下で見つかります。幼虫は土に埋もれた朽木の中で育ちます。
 大型のオスはノコギリのようなギザギザした歯のある立派なあごをもっていますが、小型のオスはあごが小さく歯も消失します。小型のオスは、明らかにメスをめぐるオスどうしの闘いで不利と考えられます。野外での観察によると、小型のオスは大型のオスが活動し、交尾する時間帯(夜10~11時:この時間はメスの活動のピーク)をさけ、その前後の時間帯(夜8時ごろと明け方の4時ごろ)にメスにアタックするということです。負けるとわかる勝負をさけているのでしょうか。

文・写真:沖縄県農業研究センター 小浜 継雄

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