琉球列島の沖縄島以南にすむイナゴの仲間で、体長は、雄で 18~22mm、雌で 21 ~31くらいのやや小さめのイナゴです。
コイナゴは紅褐色の複眼と、その後方から前胸背にかけて走る黒い帯のほかは全身黄緑色を呈し、全体としてその色彩がイネ科植物によく似た保護色をしています。
イナゴ類は形態的にも互いによく似ていて、種の判別はむずかしいことがありますが、コイナゴは他の種よりも体側の黒い帯が濃く、体が小さいことで識別されます。
本種は畑や水田などに生息し、その周辺のやや乾いたチガヤやハエキビなどの草原でもみられます。成虫は8~12月に見られ、村内でも畑のまわりなどでふつうに見られます。
イナゴ類は「稲子(いなご)」あるいは「蝗(こう)」と書いて、「イネにつく虫」を表します。イネ科植物の大害虫ですが、古来から貴重なタンパク質やカルシウム源として「佃煮(つくだに)」などにして利用されてきました。 本土では戦争直後の食料難の時代にはイナゴを食べて飢えをしのいだものも多いようです。 筆者は年少の頃、イナゴ類を捕獲し、前胸背のすきまにチカラシバの細い穂を通し、長い串差しのようにして、黒糖を煮詰めている大鍋に沈め、簡易な「佃煮」にして食したことがありますが、県内ではあまりバッタ類は食べないようです。もし、読者でバッタ類を食した経験がある方はぜひ教えてほしいものです。
なお、方言名では、バッタ類は一般的に「ガータ」と呼ばれています。
(文:嵩原建二 県立美咲特別支援学校 写真:小浜継雄 沖縄県農業研究センター)