夜、植込みや生垣からチン・チン・チンと澄んだ小さな音を聞いたことがあるでしょう。音の主は、コオロギのなかまのカネタタキという虫です。鳴き声が鉦(かね)をたたく音に似ているので、「鉦叩き」と呼ばれているようです。
インカネタタキは、カネタタキによく似た虫で、名前のとおり海岸(磯)の低木に多く見られます。また、海岸林だけではなく、内陸の林のまわりやサツマイモ畑にもいます。体長は10~15㎜、体は鱗状の毛(鱗片)で覆われ、褐色であまり目立たない虫です。オスにはごく小さなはねがあり、はねに一対の黒
点があります。メス(写真)ははねがありません。オスはチリリリーと連続して鳴きます。沖縄では年中その声を聞くことができます。樹上性で、木の上をすばやく動き回りますので、声を聞くことができても、その姿はなかなか見ることができません。
日本では本州から南西諸島に、国外では台湾や東南アジアに広く分布しています。
文・写真
沖縄県農業研究センター
小浜継雄