読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

2009年12月発行 広報よみたん / 5頁

中頭地区少年の主張大会で最優秀賞を受賞

 第24回中頭地区少年の主張大会が、9月11日(金)、中頭教育事務所大会議室で開催されました。中頭地区10市町村の代表12名が発表する中、村代表の読谷中学校3年生安慶名愛さんが最優秀賞に輝きました。村代表が同大会で最優秀賞を受賞するのは、平成3年以来、実に18年ぶりのことです。安慶名さんは、『言葉の力』と題し、人を傷つけることも元気づけることもできる言葉を、大切に使おうと訴えました。   
 また、安慶名さんは、9月25日(金)に浦添市てだこホールで行われた第31回沖縄県少年の主張大会に中頭地区代表として出場し、県内各地域から選ばれた12名が熱弁をふるう中、上位3名に入る優秀賞を受賞しました。

言 葉 の 力

読谷中学校三年 安慶名 愛

 みなさんは、人から言われた言葉で傷ついたことはありますか。
 中学一年の頃、同じクラスに、言葉のいじめを受けている人がいました。彼女は深く傷つき、いつも一人で寂しそうにしていました。彼女を助けたいという気持ちから声を掛け、一緒に行動するようになったのですが、「何で最近あいつと一緒にいるの。」「あいつと行動したら嫌われるよ。」と言われ、私は何も言い返すことができませんでした。言葉のいじめは次第にエスカレートしていき、彼女は、それをきっかけに不登校になってしまいました。
 「私がもしあの時、何か言い返せていれば不登校にならずにすんだかもしれない。」その日から、私にとっても辛い日々が始まりました。学校生活のほとんどを一人で過ごす毎日。寂しく、辛くて悲しい気持ちでした。ふと、「学校にいきたくないな。」そう思ってしまったのをきっかけに、私自身も登校することができなくなっていました。
 最初は、「一日だけ。あと一日だけ。」という気持ちでしたが、休めば辛い思いをしなくてすむという自分の弱さに負け、気づいた時には一年が過ぎていました。「このまま、ずっと休んでいるわけにはいかない。」何度も何度も学校へ行こうとしましたが、気持ちだけで、体が思うようについていかず、自分ではどうすることもできませんでした。
 そんな時、詩人の須永博士先生との出会いがありました。須永先生は、私に一遍の詩を書いてくれました。それは、家のどの壁にも張り出せないほどの長い長い詩でした。
 「苦しんだ人が、苦しんだ人の苦しみを分かってやれるんだよ。ひとりぼっちになった人が、人に優しくできるんだよ。」
 その詩のどの部分をとってみても、温かく心に響く言葉が並んでいて、書いてもらっている間中、ずっと涙があふれて止まりませんでした。
 その日から、不思議と今まで悩んでいたことが嘘のように消え、気持ちがとても楽になりました。「やっぱり、言葉の力って、本当にすごい。」私は深い感動に包まれ、「三年生になったら、ちゃんと学校に行こう。」そう決意しました。
 始業式の日、すごく不安な気持ちと、もやもやした気持ちで登校したのを覚えています。何度も家に戻りたいと思いましたが、須永先生に書いてもらった詩を思い出し、「今ここで一歩を踏み出さないと、このままずっと行けなくなってしまう。」そう思い、思い切って登校することができました。もしあの時、須永先生の詩を思い出せずに、学校に行ってなければ、今いる大切な友達に出会い、楽しい時間を過ごすことはできなかったかもしれません。
 辛い経験をし、須永先生に出会い、あの詩に出会って、言葉の力がどれほど人に大きな影響を与えるのかということを、よく知りました。言葉は、悪いように使えば人の心を傷つけてしまう恐ろしいものです。しかし、良いように使えば、人の心を温かい気持ちで包み込み、幸せにしてくれる、かけがえのない素敵なものになります。私自身が、そして私の周りの人達が幸せな思いをたくさん味わえるよう、これまで以上に「言葉」を大切に使っていこうと強く思っています。
 あなたは、「言葉」をどのように使っていますか。

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