謹んで新年の御祝詞を申上げます
読谷村長　伊波　俊昭

　輝かしい一九五八年の新春を迎うるにあたり村民の皆様に心からお慶びの言葉を申上げます。
　憶えば昨年は誠に多事多難の年ではありましたが、同時に極めて多くの実績を収め得た年でもあったのであります。昨年は三月には総工費壱百拾万円を投じた近代的な鉄筋コンクリート建の新庁舎を落成し、引続き附帯工事としての門、消防車庫、便所も新設であります。またハワイに居られる読谷村出身の方々から寄贈された掲示板も見事に出来あがり役所の外観内容を一新致しました。この機会に村民の皆様と一緒にハワイ同胞に感謝の意を表する次第であります。民生関係施設としては政府の助成によって村道の改修や飲料用水供給施設として十八ヵ所に井戸を作り読谷小学校の簡易水道設置を完成、更に産業経済面においても戦後糖業再建の年として、五○屯製糖工場の操業を開始し、農道や井堰農業用水池の新設改修に努め大きい成果を修めてまいりました。
　特に村経済政策の目標ともなる経済振興基本計画を樹立し各種産業発展への端緒を開き力強く第一歩を踏み出したのであります。
　しかしこのような反面には村民の皆様にいろいろ御心配をかけ或は皆様の御期待に充分そへなかった事もあるのであります。と申しますのは瀬名波と座喜味がナイキ基地になり地上物件農作物や補償の問題やフェイ台風による損害があまりにも大きくそれに対する充分なる援助もあたえる事も出来ず、或は収入役の問題などみなさんに大きい心配を御かけした事申訳なく思っております。
　しかし皆さんの絶大な協力、努力、理解によりましてこれらの種々の問題も一つ一つと善所解決を見つつあるのであります。
　今年は、戊年であります私達役所職員は出来る限り各字をかけずり廻り各字幹部皆さんと綿密な連繋を保ちまして今まで築きあげた磯の上に更に更に張切って各面に頑張る覚悟であります残れた仕事が山程たくさんあります皆の力を集めて進みましょう。
　終わりに村民皆さんに大いなる繁栄と幸福がもたらされるよう御祈り致し御挨拶と致します。