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1959年7月発行 読谷村だより / 4頁

暗い顔に光明射した失業対策事業

暗い顔に光明射した失業対策事業
 働く事は生きていく上に欠く事の出来ない重要素である。切角の労働力もその吐け口に限りがあり、年々増加の一途を辿る労働力の過剰や軍工事の減少等によって縮減される失業者は比較的深刻の度を増しつつあるのが現状である。又切角仕事には就いてもあくせくと働いてはつまらない。役所のカウンター受付を訪れる曇りがちなさびしい顔、村長の身上証明書を貰って職業安定所へ急ぐ思案顔今日も一人、又一人職にあぶれて淋しそうに人間に必要な糧を求めて憂の顔を交又させている。幸い本村でも緊急失業対策法に基いて開始された失業対策事業を五九年度二・四半期、即ち五八年十月から実施した。これは多数の失業者の発生に対処し、失業対策事業及び公共事業にできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定を図るとともに経済の興隆に寄与する事が目的とされている。
 村にも該当する失対事業適格者はその大半が未亡人から最高七十余才のあばあさん迄五十七名が受付られて居る。然し作ら予算の枠内で労力費と資材費が限られて居り有効適切に運営しなければならない、これも一日置き二日置きにしか就労出来ないが就労者の額の汗は希望にもえて一段と明るく雇用対策、救済政策、この暖い保護に感謝の念を一杯こめている。
 労働力の吸収を第一条件とするこの事業は土羽打、道路整備、側溝と経済効果と雇用効果を相平行させて寒冷の時も優しく根強くよいしょ、よいしょで又熱砂をふりそそぐ炎熱を圧う事も忘れてスコップ、ツルハシでどっこいしょ、どっこいしょの逞しい掛声、石粉や芝運びの頭のザルから何時の間にか無雑さにハナ節小も流れと来る。某ユーモア局長の云う有望婦達が尻をふりふり終始笑いと冗談で暮れる失対事業の一日、職を得し喜び、これが生ある人間生活の糧、可愛い吾が子のエンピツ、洋服、クツとなり日を追うて黒くやける顔、足、手美しくたくましく汗に光って敢然と社会の台風に挑み、挫ける事を知らない。
 願くば大自然の青い空、海明るい日射しが失対者の上にも容赦なく降りそそぐ日が一日も早く来訪せん事を皆様方と共に祈り併せて御健康を祈る。
 今日も又現場指導に行った役所の班長さん達が有望婦人達に冷やかされて赤面していた当に健全活溌、和気相々としている。
 失対者よ御苦労様、写真は汗の結晶によって築かれた二千平方米の土羽堤、見事な土羽工事に、コッチして一段と偉容を張る村民会館、一層切サ琢磨、村民福祉の増進の基盤として健全社会を約束し村の発展を心から祈念して止まない。

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