読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1959年10月発行 読谷村だより / 1頁

全村民の願いナイキ発射実験は止めて!! 対策協議会を設置して軍民両政府に訴える ナイキハーキュリーズ発射実験の中止について陳情文

全村民の願い
ナイキ発射実験は止めて!! 
対策協議会を設置して軍民両政府に訴える 

 「今月二十九日に第一発、米軍がミサイル弾を」瀬名波のナイキ基地からナイキ、ハーキュリーズを発射するという琉球米陸軍司令官ブーズ中将の発表に対して、村長は去る十三日に行政主席に対して発射実験を中止して貰うよう米軍当局に進言してほしいと陳情を行ったが更に十五日午後三時から村内各種団体の代表者によってナイキ発射対策協議会を開催、対策委員を設けて積極的に阻止運動を展開することになった。十七日午後三時から委員会を開いて立法院、行政主席、市町村会、民政官に対する中止陳情を行うことを決定した。

ナイキハーキュリーズ発射実験の中止について陳情文 

 来る二十九日から来年一月三十一日まで毎週三回に亘って読谷村字瀬名波のナイキ基地からナイキハーキュリーズの発射実験を行うという琉球米陸軍司令官ブーズ中将の突然な新聞発表で読谷村一九、○○○人住民は大きいショックをうけております。
 特に基地から数百米の近くにある字瀬名波や長浜の部落民をはじめ渡慶次小学校区、読谷小学校区では恐怖と疑惑におうはれて混乱の状態であります。沖縄でははじめての実験でありどのようなものであるか全く知るよちもありませんがナイキの威力からおして想像しますとき、住民の経済活動に或は教育面、精神面に大きい影響を及ぼすであろうことを予想されるのであります。発射のたび毎に窓ガラスが割れ或は煽風で建物は傾きブロック壁にはひびが入り、ふせぎようのない騒音に児童たちはおびえ授業も出来なくなることは隣村嘉手納における飛行機の爆音でよく知るところであります。
 冬期における週三回の出漁不能は沿岸漁民にとっては大きい死活問題であります。絶対安全だといわれる発射実験も数多くの失敗が繰返されており、米国本土における八月二十六日の第一回の発射実験も空中爆発して失敗に終わったという実例もあり、不発や発射方向の誤り、その他不慮の失敗が絶対に起らないという事は保証されないと思うのであります。
 御承知のとおり沖縄には八ヵ所にナイキ基地がありナイキの発射射程(危険区域)からおしてひとり読谷村だけの問題でなく、基地をもつ沖縄中部地域だけの問題でもなく全沖縄住民にとって大きい問題でありましょう。
 日本衆院外務委員においては、鹿児島県のマグロ、鰹業者にとっても、日本の水産業界にとっても大きな漁場であり、かつ海上交通のうえからも公海自由の原則にもどるものとして大きくとりあげて試射中止を外務省を通して、米軍に強く接渉することになっているようであります。
 すでに世界は平和に向かっている今日、このようなおそろしいナイキ兵器の実験は中止していただくよう全住民の願いとして琉球米陸軍司令官ブース中将に進言して下さるよう御懇願申上げます。現在のような住民多数の恐怖と疑惑の混乱状態の儘で発射実験が実施されたら、平和な村読谷はそれこそ、平和な村読谷はそれこそ、阿鼻地獄のルツボとなるのではないかとおそれるものであります。
 読谷村民のこの願は全沖縄八十万住民の願であると信ずるものであります。この全沖縄住民の願が琉球陸軍当局に理解されてナイキハーキュリーズの発射実験が中止になりますよう請願致します。

一九五九年一○月一九日
読谷村長 伊波俊昭
読谷村議会議長 仲本政公
読谷村教職員会長 山内繁繁
読谷村婦人会、青年会長

立法院議長
安里積千代殿

行政主席
当間重剛殿

主席民生官
ジョン、G、アンドリック准将殿

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