読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1960年6月発行 読谷村だより / 1頁

施政の方針 一九六一年度村長施政方針(一)

施政の方針 一九六一年度村長施政方針(一)

 一九六一年度の予算審議をお願いするにあたりまして施政方針の大要を申し上げ議会議員及び村民の御協力を念願する次第であります。私はこの度議員の皆様や村民有権者の御支持を戴きまして、伝統に輝く本村の責任ある職務に就く事が出来、このように皆様に施政の方針を申し上げることが出来ますことは、身にあまる光栄でありまして、改めてここに御礼を申し上げる次第であります。
 今回の第二回定例議会は私にとりまして就任以来最初の予算議会でありますので此の機会に一、九○○余人の村民福祉を向上せしむるには如何にすべきかということについて私の日頃から考えておりますことに関し一言ふれて見たいと思います。
 先輩村民、為政者の努力によって築かれた伝統をうけついで平和な富んだ文化の香り豊かな理想郷を建設するにはまず第一に”人の和”ということが原動力になりましょう。私は議会と一体となり話し合いによって発展策を見い出し、誠心誠意地味に、真面目に、真の公僕として精進働くことが執行者としての第一の信条でなければならないと確信しているのであります。
 本村では一九五七年に村民生活の安定向上将来発展のため経済基盤の強化等の趣旨に則りまして経済振興基本計画を樹て村民皆様の全面的な協力と村議会の積極的な指導鞭撻、それに琉球政府や民政府の援助も戴いて、農業基本施設としての農道や排水路の整備、村民の生活文化向上に直接影響をおよぼす飲料水供給施設の強化、公民館その他各種団体の育成助長、生産増強のための諸施策、教育施設の強化等が経済振興計画の線にそうて推進実践されておりますが、基本目標の達成には今一層の努力が必要であり多くの懸案が残されているように考えております。即ち
①最大多数の村民が従事している農業の振興を図るためには、農道、排水、防風防潮林、溜池等の基本施設の整備、農業生産増強のため肥培管理の指導強化等の諸施策を更に推進しなければなりません。
②産業経済の発展と表裏一体である教育の振興のためにはまだ数多くの学校教育施設と社会教育施設を整備する必要があります。
③経済活動の動脈だといわれる公道村道部落内道路の整備は漸く始められたばかりでこれからという処であります。
④飲料水供給施設としての水道もまだまだ半分も出来ていません。
⑤労働の機会を失い所得の中断した村民に対して失業時における生活の安定を図るために失業対策事業もさらに拡大せねばなりません。私は任期間を通じてこれらの基本的な問題に挺身する覚ごでありますが、一九六一年度の予算編成にあたってもこの中から重点的にとりあげて予算を編成してあります。以下主なる事項について申し上げまして村民皆様の御理解と御協力をお願いする次第であります。

一、機構組織の改善強化と処遇改善
 行政の目的は”公共の福祉を図るという前提のもとに平和な、お金があって、文化の香り豊かに日一日と生成発展するところの理想郷を建設する”にあるといわれております。従いまして地方公共団体は経営者意識を確立してその運営は
(1)法により
(2)民主的に
(3)能率的に
換言するとタダシク、ハヤク、ヤスク、ラクニ、出来栄よく、なければならないと考えております。このような運営の原則から住民登録という新しい市町村事務や失業保険法の施行による常勤化した臨時職員採用の困難性、農業土木民生施設等の事業拡大、企画広報活動の強化等に伴って機構組織の改善強化のために必要最小限の職員を増加し、亦村民の公僕として職を奉ずる者の生活安定のために基本給の一○%を引上げるとともに期末手当を増額し待遇を改善、職員の一人一人が村民の公僕としての自覚を堅持して民主的な能率的に公務を処理し、住民サービスの向上を図る所存でおります。

二、健全財政の確立
 公共の事務及び法律条例規則により負荷せられた自治活動を果たすために、財源を有効に駆使して出来得る限り効率の大きい自治活動を行うべきことは今更論ずる必要もありませんが、今日のように諸立法による必然的行政事務の開始や事業が拡大し、而も他面においては住民租税負担の軽減が唱えられるとき、財政運営の効率化、財政の健全化は最も留意すべきことだと存ずる次第であります。幸にして本村に於ては健全な納税思想の伝統につちかわれて、村民皆様の理解ある御協力によりまして九九・六%という好成績の納税であり、また村有の軍用土地料や非細分地料、有価証券からの配当預金利子等による自主財政運営が確立されているとはいいながら変遷極りない現下の社会状態、社会保障制度の拡充に伴う村負担の増額、住民生活向上に伴う施設の強化等による年々上昇の傾向にある財政規模等を合せ考えますと恒久性のある村財政計画の樹立が痛感される次第であります。この点については議会と一体になって研究したいと思います。特に今年は住民負担の軽減のために扶養控除・不具者控除・老年者控除・寡婦控除・基礎控除・勤労学生控除等の諸控除額を引きあげて住民負担の軽減を企しているのであります。
納税については納税者の理解を深め税務行政に対する信頼を得るようにあらゆる機会を利用して税金のゆくえ、村財政の状況について公表、納税思想の昂揚と徴税の民主化を図るとともに税源の補捉の徹底、滞納整理を強化し適正な税法の執行を期す所存であります。

三、産業基本施設の強化と生産増強
 産業特に農業基本施設として農道や排水河川堤塘等については政府の補助を得て施行出来るものは出来るだけ政府に援助を仰ぐ事にしてまた既に過年度に於て施行された工事についてはその維持と管理を督励し政府の補助対象にならない工事に対しては予算を計上し施設の強化を計る。
1、畑地灌漑施設として今年も引続き増設を行う。
2、新に水溜の設置
3、畜舎堆肥舎を各々個別で施行す。
4、葉煙草乾燥室の増設
次に生産増強の施策としては特に補助金の効率的運用を行い団体育成に重点をおいてあることは従来の補助金のやり方と異った処分であります。
特にとり上げてあることは
1、畜産の増殖の面で良質の豚を多く繁殖させるため優良種豚生産補助金を新に設けたことであります。
2、輸出豚の出荷補助

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。