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1960年10月発行 読谷村だより / 1頁

アンドリツク民政官本村を視察

アンドリツク民政官本村を視察

 アンドリック首席民政官は十月十三日午後二時二○分から午後三時まで約四○分間に亘って本村の事情を視察した。
通訳を一人伴うての気軽な地方あん脚はこの日集っていただいた議員、区長、学校長、教育委員、婦人会等の代表八○名の方々に非常によい感じを与えた。滞在時間が短くて各自の要望意見をのべることができなかったが、村長から予め用意した別紙によって本村の事情について陳述した。それに対して主席民政官は過去十六ヶ月にわたり琉球各地の民情視察をするために各方面を視察しているがこれは直接地方の人々とお話合いをしなければどういう問題があるか、これを解決するため如何なる具体的対策が必要かを知るためである。
私は琉球住民(二○人や三○人の財界人ではない)が各々の収入を増やすために尚一層積極的に考えて貰いたいと思う。一弗でも二弗でも副収入の増えるという事はその家庭にとって大きなプラスになると思う(災害の多い農業偏重に対する批判と家内工業等えの示唆)と語り村長要望事項を早急に全部かなえてやるというのはむつかしいが一つ一つ村民の皆様の協力を得て解決していくことに努力したいとの話であった。

要望書
 ようこそいらっしゃいました。
貴官は、公私ともに大変お忙しく、かつ重責を担ってその完遂に日夜御精進なされ特に公務多端にあられながら、民情視察のために、わざわざ、本村までお越し下さいましたことに対して住民を代表して衷心より厚く御礼申し上げます。
 大変御苦労様でございます。
 扨て、去る一九六○年六月二十四日の高等弁務官と中部市町村会との協議会の際に、盛沢山の要望をお願い致しましたところ、特別な御配慮を戴きまして、すでに、多くの問題が処理され、又は、なされつつあることに対して、深く感謝申し上げる次第であります。
 先づ、それらの問題を列記しますと
1 六号線舗装工事の問題
 一九六一年三月末日までに、舗装工事が完了される旨の、係官からの報に接している。2 簡易水道施設及び排水溝工事の問題
(イ) 高等弁務官資金によって、都屋区が簡易水道施設が完了(一、七五○弗)
(ロ) 長浜、瀬名波、渡慶次、儀間の一部等の各区が現在、高等弁務官資金と村民の協力によって、水道工事施設中(六、三一○弗)
(ハ) 楚辺区が去る九月二十一日に、排水工事施設として、高等弁務官資金が交付された(二、五○○弗)
3 橋梁施設の問題
 第一号線から、古堅家族部前に通ずる「ワンジャク」橋が工事中
4 牧原区民への援助の問題
 関係機関の助力で、一理の援助がなされた。

 前述のように、幾多の問題が、民政府の御理解と御熱意によって、解決されてゆき、又、その過程を眺めて、大変頼母しく思っている次第であります。しかしながら、本村には、まだ多くの、なさなければならない問題、改善しなければならない問題が次のように未解決のまま、とりのこされています。それらの問題を順調に遂行するためにはまた貴機関の御援助と、御理解を戴き度く、この機会に、更に御願い申し上げます。

1 初代琉球政府主席故比嘉秀平氏記念会館建設について
 故比嘉秀平氏は、本村出身というのみでなく初代琉球の行政主席として献身的、活躍の言葉そのまま、実行されて、物故なされた人で特に難問題として、自他共に認めた軍用土地問題解決の立役者であり、故人の手腕と情熱は、末永く評価、温存さるべきだと考えるのであります。よって故人を偲ぶ、よすがとしてまた、先覚者であられた故人の思想を受け継ぐ後輩進出の環境をつくる意義において、記念館を建立して本村民及び広く一般の、文化センターとしての役割を果たしたい。
2 水道未施設部落に対して民政府の援助による「軍用水」からの割譲について
 前に述べましたように過日、北部の五ヶ字に水道施設費として、(六、三一○弗)を御援助交付して戴きましたが、施行に際して、折角、立派で豊富な水源がありながらFBISの特殊的通信基地が存するために、その豊富な水源の利用が竣巡されて、止むなく部落内の個人井戸に、水源を求めざるを得ない結果を招き、今後の簡易水道に対する考え方が、憂慮される現況であります。幸いにして、こんど、第六号線沿いに軍用水路パイプが配管される予定を伺っていますので、右の事情に鑑み、この際是非軍用水から、水道施設未設置の全地域へ割譲して戴くよう御願い致します。
3 都屋港の浚渫及び、水産附帯施設について
 本村唯一の良港であった渡具知港が、軍用地になったため、都屋港が本村に残された、一つだけの漁港であります。農耕地が少なくなった村民のために、水産業発展の基礎となる漁港を是非整備して戴くと共に、その附帯設備として、魚介類の冷凍施設を援助して戴き度くお願い致します。
4 ナイキ基地ASBを結ぶ、地下ケーブル線、水道パイプ線について
 この件は、当該施設地域について、他では軍用地となり、賃貸料の支払いがなされているので、ここの地域も使用料等が当然支払われるべきと考えられますので、調査の上善処して戴き度い。
5 牧原区への援助方について
 本件は、政府関係当局立法院、軍用土地連合会、地区市町村会、同議会議長会等の御尽力により、このたび沖糖社との間に来年五月末日までに関係部落(カデナ久得、コザ御殿敷 読谷牧原)に対して、一万ドルを援助として支払うことを承認されました。この額は、一戸当りにして、約四○ドルで、この額では到底部落の窮状を打開することは、困難でありますので、部落に帰れない、我々の窮状御調査の上、是非とも軍御当局において御援助方御とり計い下さいますよう、お願い致します。

 以上、数多くの、お願いを致しましたが、読谷村は、総面積の七五%の軍用土地

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