読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1965年6月発行 読谷村だより / 1頁

施政方針 

施政方針

 一九六六年度の予算審議を要請するにあたり、新しい年度における施政の概要について申し上げます。まず最初に、平和に富み、文化の香り豊かに、生々発展する理想郷を築くために、産業の振興、民生の安定、保健福祉の向上、健全財政の確立、教育文化の向上を村政の基本方針とする。
 また、業務の執行にあたっては、社会情勢に対応し本村が直面しているいろいろの問題について、法規に則り、民主的に、能率的に執行し、責任をもって村政を担当していきたい。
 その実現のために、一九六六年度予算は一般会計において、二四九、八一六ドル、水道事業特別会計に五八、三三七ドルを計上し、前年度に比して、三三、八四四ドルの伸びを示しているが、本村の直面するいろいろの事業を遂行するにはなお多額の予算を必要とする。しかし財源の都合もあって、本年度は重点的にまた急を要するもの、効果的なものを優先して編成したことを申し上げ、ここに一九六六年度における村政の抱負及び執行について述べてみたい。

一、産業経済の振興について
 第一産業の多いところは、文化水準は低いといわれている。従って、企業を誘致し、観光事業を計画して、第二次産業の盛んな村にしたいと検討しているが本村は軍用地が多く、水源に乏しいために、工場用地の条件に欠け、史蹟名所もまた、軍用地に関連して第二次産業が急激に伸びる見透しは、現在のところまずないと思う。
 だとすれば、前近代的だと云われた農業のあり方を改善し、その振興を計ることが先決であり、これに関連する企業をおこすことが得策だと考える。
 本年度は、そう云う見解に立って、昨年立案した農業振興計画の一部修正を行ない、それに年次計画を挿入し、特に奨励作物に指定した馬鈴薯、茶、マシュルームの生産と流通の実施計画、果樹園の管理と施設の整備、畜産技術員の設置等を計画して前年にまして農業振興について、強力に推進していきたい。
 尚読谷山花織の振興について検討を加え、各種農業関係団体を育成し、特に農業協同組合との業務提携を図って、本村産業経済の振興に努力したい。

二 建設事業の推進について
 本村は逐年土木事業費に多額の予算を投じて、村道の維持管理及び排水溝を施工し、また失業対策事業により、部落内の道路、排水等の整備を進めて来たが、本年度もこれを強力に施行していきたい。
 特に本年度は、新しい試みとして高志保、宇座線の一部にタール舗装を計画している。その結果がよければ年次計画に基づき、村道前線に及ぼしていきたい。
 なお、都屋ー楚辺線、大木ー比謝線、大湾ー古堅線の排水施設を施工して村道を立派に管理する計画である。
 次に、水道事業の建設については、昨年来喜名、親志、座喜味、上地、波平の部落内工事を施工中であるが、引き続きこの地域の水道施設を完成させる計画であり、併せて南部地域の比謝、大湾、比謝矼、渡具知一帯の水道施設を施行するつもりである。
 そうすると残るのは、高志保地域だけということになる。この地域の計画には水圧増量の問題と事務上の面から、本年度は無理だと思うので、誠に申し訳ないが関係各位にお許しを迄う次第である。

三、役所事務の合理化について
 事務改善の問題は、役所業務を進んだ現代社会に即応するように改善しなければならない。
 それは、役所内部の執行体制の確立から出発しなければならないので、先ず内部諸規定の整備を行ない、職員の職務権限を明確にする。また村長の補助組織を規定し、明文化して行政運営の円滑を期すべく、その制定を本年度内に実施したい。
 役所の事務はすべて文書にはじまり、文書によって終結する。文書の整理、保管の取扱は、最も重要であるので、文書管理改善のため、文書のファイリングシステム(書類の整理の方法文書を一定の約束で分類し文書の位置をを定め、何時でも、誰でも必要のときすぐ取り出すことができ、かつ破棄のできる仕組)を実施したい。
 住民台帳の統合、保管整備を行なって、住民サービスの向上に努めるため、その保管庫、ビジブルレコーダーを購入したい。
 なお、日進月歩の社会機構に沿う業務をするためには、常に研讃をしなければ社会の発展と共に前進することはできない。役所事務においてもまたしかりで職員の職務に対する責任遂行の指導養成と、更に先進の本土町村での具体的内容の現場研修を実施して、真に新しい感覚の事務改善合理化を進めて、村行政の効率を上げ、住民福祉の増進をはかりたい。

四、保健福祉の向上について
 本村を、蚊や蠅、そ族昆虫のいない、道路側に、ちりのない村にすることができたら、われわれの生活はどんなに楽しく住みよいことだろう。
 保健福祉の目的は、貧困疾病、犯罪をなくし、健康な村をつくることである。そのためには母子衛生、精神衛生、産業衛生、環境衛生を昻めなければならない結核、脳炎、赤痢、コレラ小児マヒ等の伝染病を予防し、寄生虫、成人病対策を推進する必要がある。
 これまでも衛生思想の昻場に、伝染病予防対策について、いろいろの施策を講じて来たが、充分なものにするには、ほど遠いものがある。
   二面へつづく

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。