はなしのサロン バテ話
知花広三
1 禁酒禁煙
「禁煙ッて、むつかしいね」。
「なあんだ。そんなことわけないさ。朝飯前だい」。
「???・・・・・」。
「おれなんか、百ぺん以上も禁煙したんだもの・・・」。
「へェ!!!そんなもんですか」。
同じことが禁酒の場合だって言える。禁酒を約束するから「あと一杯だけ」と。
その「後一杯だけ」が百ぺんもある。
「よいどれた四十男がおどつている 葬式すんだ村の夕暮れ」
酒は心のうさのすて所か。そうでもあろうがそうでもない。タバコは肺ガンのエンインか。そうでもあろうがそうでもない。
ケンノン。ケンノン。酒はかんでのみ、タバコは(ハ)吐いてのもうかしら。
2 金なる音
時価三百弗のジヤロピーを運転しているダブ服のLが時価三千弗の高級車を運転している紳士服のGをおいこした。
GがすぐLにおいついて言った。G「おい君、君の車のガッタン・ゴットンは何の音かね」。 L「ああ、この音かね君もならしてごらん。」
G「馬鹿野郎!!おれの車がそんな音する筈がねえじゃねえか」。
L「ああ、そう、おれのズボンのポケットに金貨が二百弗入っている。それがジングリングするだけさ。もっとも残り二十五枚の札束はガッタン、ゴットンしないけどね」
G「こいつ、チキショー。」
L「君のポケットのゲップ領収書は一回目かね、その車が新品すぎるから」。
高級車はジヤロピーにへを吐いて、すっとんで行った。ガッタン・ゴットン。ジヤロピーは金のなる音をたてながら我が道を行く。
3 或る老農の話
「キビがよくできた。豚がよく太ったネダンが安いと若者よ、なげき給うな。」
「今は除草器があるが、畠の草は相変らずはびこっている。」
「ものを生み育てる自然の力の百分の一も協力しないでいて、協力協力と言っている。」 「金持ちになるのが望みではない。欲を言へばもっと貧乏にはなりたくない。」
「雨露の恵みと人様の情で子や孫がすくすくと育って行くように願かける。」
「働ける間生きていたい。生きている間、働けるようでありたいものだ。」
キヤラウェイはこの老農の心をキヤリアウェイできなかった。
ワトソンもこの老農の心をワッタームンとは言うことは出来まい。何が起るかわからない明日に不動の望をかけて畠に草をはやさない老農の姿は人生の道しるべである。
一九六五ー二三