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1966年12月発行 読谷村だより / 2頁

果樹産業研修報告

果樹産業研修報告 
経済課長 松田昌彦

 この二~三年、沖繩も果樹栽培が盛んになり、北部市町村を中心に果樹主産地研究会を結成しています。
 この研究会の事業として、みかんの先進地視察研修を計画し、十月二〇日から二〇日間の日程で九州地方のみかん産地を視察研修致しました。村民各位のおかげさまで、小生研修に参加出来たことに深く感謝を申し上げ、二〇日間の研修概要を報告致します。技術面の報告については紙面の都合で詳細には出来ませんが、研究を重ねながら、そのつど報告させていただきます。
 十二月二二~二四日九州大学
(イ) みかんの育苗技術とその理論
(ロ) 機械化を中心とした開園法
(ハ) みかんの計画密植栽培技術
(二) 砂栽培の理論とその技術研修
(ホ) 液体肥料とその特性
(へ) 農業と農業技術の考え方
(ト) EB剤とその利用効果
 十月二五日
△ 農林省久留米試験場
 (イ) 試験研究の実態
 (ロ) 技術体系と今後の問題点
△ 福岡県田主丸町
 (イ) 苗木産地の実態
 (ロ) 育苗技術研修
△ 福岡県立母木園
 (イ) 母木の迸定について
 (ロ) 母木の管理について
△ 福岡県内山緑化地
 (イ) 環境緑化について
 (ロ) 観光地を目的とした造園技術
 十月二六日
△ 糸島郡農協とみかん団地
 (イ) 一郡一農協体系
 (ロ) 構造改善事業によるみかん園
 (ハ) 出荷体制と大型迸果場
△ 佐賀県玉島農協
 (イ) 新パイロツト地区視察
 (ロ) 農協生産部活動と指導体制
 十月二七日
△ 長崎県農林センター果樹部
 (イ) 機械経営に関する実態
 (ロ) みかんと草生栽培
 (ハ) 除草剤の効果について
 (二) 異状落葉について
 (ホ) 長崎県果樹事情について
 十月二九日
△ 農林省国ノ津試験地
 (イ) 機械化を前提とする開園及び植裁方法
 (ロ) 晩生みかんの諸問題
 十月三〇日
△ 熊本県天草牛深農協
 (イ) ポンカン栽培について
 (ロ) 液肥農法について
 (ハ) EB剤利用について
 (二) 防風網とその効果
 十一月一日
△ 熊本県立果樹試験場
 (イ) 摘果の効果について
 (ロ) 施肥法について
 (ハ) 熊本県果樹事情について
△ 熊本県小天農協
 (イ) 集団産地の形成について
 (ロ) 農薬の飛行機散布による効果
 (ハ) 指導体制について
 十一月二日
△ 熊本県荒尾小袋山農場
 (イ) 法人組織による農業
 (ロ) 計画的密植栽培と観光地を予定した造園法
△ 三井グリーンパーク
 (イ) 観光地を目的にした果樹栽培
△ 熊本県山川農協
 (イ) 旧産地の実態
 十一月五日
△ 大分県近藤農場
 みかん名人近藤氏による「みかんの生理と多収法」を受講
 十一月七日
△ 鹿児島試験場
 (イ) ポンカン、タンカンの栽培法
 (ロ) 台木の親和性について
 以上のとおり研修しましたが特に九州大学園芸教室において農学博士福島栄二教援の砂栽培、EB剤利用による土壌改良は新しい技術として大きな収穫でありました!!又百二〇年の歴史をもつ田主丸町の苗木産地を訪問出来、この町は若人が全員村に残り、経済の豊かな町で経営規模はわずか三〇アールでありながら「農業の曲りかど」など問題はならない平和な、豊かな村を発見し、いかに自分の村の特色に立却した産業が力強いかを再忍識した次第であります。
 いろいろと研修しましたが紙面の都合もありますので、今後蔬菜類の施設園芸を進めるにおいて、研究いかんによつては有望である砂栽培の概要をまとめてみたいと考えます。   砂栽培とは
(一) 砂栽培は企業農業の考え方から労働生産性を今の三~四倍に高める考え方に立つています。
(二) 砂栽培は砂耕や水耕、礫耕とはちがつた概念で培養液を必要とするのでなく液体肥料の三要素で足ります。
(三) 砂栽培は推肥や元肥は不必要で灌水と同時にうすい液肥だけを外から頻繁に施こすだけであります。
(四) 砂栽培は固体肥料を使用しないため灌水は一回に三~四ミリメートル位でよく、細かい砂は排水がよく根への空気供給力に優れ、適度の保水力をもち、養分は常に外から与えるので保持力は問題になりません、推肥を施こしませんので除草の要もなく、中耕の必要もありませんので省力化が大きく労働生産性の三倍化が期待されます。
(五) 砂栽培は液体肥料を施するため従来の理論と趣がちがい、ほとんどの砂では微量要素の肥料的施用は全く不必要だと云われていますNPKを与えれば充分で、その際Nも尿素として与えるのが望ましい硝酸態Nの在否は全く無影響であります。燐酸、加里についても形態は問題でありません。
(六) 砂栽培は施設内での栽培が最も適しています。降雨による配慮が不必要でさり、極めて規則的な管理が出来ます。砂床の厚も普通の作物で十五~二〇センチで、過湿を嫌う果菜類の栽培では七センチ程度の厚さがいろいろの条件からよいとされてよいとされています。地下水の上昇や灌水の過剰の害からまぬかれるために床土の底にビニールシートを敷き、中高の高畦状の床をこしらえます。
(七) 砂栽培における作物の生態はまことに生き生きとしています、最後まで老化がおこり難く、空気の供給が充分であること、水分過多に陥り難いことが主因と考えられます。根の機能も当然すぐれています。種子根さえ生きのこるから双葉は枯死しなく下葉の枯れあがりも原則としては、おこりません。根の働きが正常であるが故に茎の徒長は生じなく蔓ボケもなく作物生育が思うままにコントロール出来ます。
 以上のことが砂栽培についてまとめられますが、これは新しい技術でありますのですぐ農家に普及することは問題がありますがビニールハウスにおける栽培は有望であり、研究しなければならないと思います、帰任と同時に役所の裏の園場でキユーリ栽培を研究しています。充分研究を重ね読谷村で一歩でも先に実用化の方向に努力したいと考えています。研究がまとまり次第本紙又はいろいろの機会をとうしてお知うせ致します。役所に御要件で来所なされる時はどうぞ経済課に御寄りになり職員からいろいろ御聞き下さい。
 次回に紙面が都合できましたら、新しい技術のEB剤利用による土壌改良を御紹介致します。

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