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1968年7月発行 読谷村だより / 1頁

1969年度 施政方針

1969年度 施政方針 
村長 池原昌徳

◎・・・ 去る六月十一日から開会された第四回村議会定例会議会で池原村長は一九六九年度の施政方針を述べた。池原村長は、その施政方針のなかで「ナイキ発射演習、落下傘降下演習、黙認耕作地の農作物撤去など、基地公害をなくし、自らの手で民主的に能率的に住民の健全な発展と権利を約束する。のびのびした行政を行なためうには、地方自治に関するすべての本土法の適用を受けなければならない。そのためには軍事政策を優先する異民族の支配から一も早く脱却する運動に賛同し、祖国復帰、国政参加の基本問題解決のため努力する」と前おきし、「豊かなくらし」「明るい健明ら康なくらし」「行政とくらし」に分けて向う一年の村づくりの所信をかにした ・・・◎

 本日、第四回議会定例会を招集し、ここに一九六九年度の予算をはじめ、たくさんの議案を送付してありますが、その審議にあたり新しい年度にのぞむ施政の概要について述べることにいたします。
 まず初めに、昨今の沖繩をとりまく政治情勢は内外ともに激しく流動しています。昨年の日、米首脳会談を頂点として、沖縄の施政権返還、国政参加、安全保障問題、基地と核の取扱いをめぐって、激しい論議が展開されました。本土政府の沖繩政策は、日、米共同声明に謳われている通りにして、結局は、いま直ちに返還することは困難にして返還の時期を両三年以内にとりつける。そのため日、米間で引きつづき検討し、返還の際に起るであろう摩擦を少なくするために、日米琉諮問委員会を設け、本土との一体化を進め、経済水準の引上げと、社会福祉の増進を図る政策が立てられました。
 こうした沖繩の復帰体制づくりの中で本土政府による一体化調査団の沖繩派遣が行なわれましたが、その反面、アメリカのアジア政策と、沖繩の祖国復帰と関連するといわれるベトナムの平和会談は一向に進展せず、しかもその最中にありながら嘉手納飛行場に配置したB52核戦略爆撃機は一向に撤退せず、常時ベトナム戦に進撃しており、またわれわれの近くでは、ひんぱんに基地公害が起り、本村においてもナイキ発射演習、落下傘降下演習、黙認耕作地の農作物撤去など、沖繩の軍事基地は逐年強化され、われわれの不安はつのるばかりであります。
 私たちは戦後二十三年、戦争をにくみ、平和と民主主義を尊び、自由と人権を守り、祖国復帰、国政参加主席公選の激しい運動の結果により、ようやく主席公選実施の運びとなりました
 「自治にまさる善政なし」との諺の通り、市町村行政についても、祖国復帰なくて、善政を施すことは困難であります。われわれの手によって、民主的に能率的に、住民の健全な発展と権利を約束する、のびのびとした行政を施すには、祖国憲法の下にあって、地方自治に関するすべての本土法の適用を受け、本土市町村と同等な水準の財源を確保することによってこそ、完全な行政運営が施せるものと考えます。
 従って、軍事政策を優先する異民族の支配から一日も早く脱却する運動に賛同し、祖国復帰、国政参加の基本問題解決のため努力したいと思います。

 豊かなくらし
 我が沖繩の社会経済は、近年著しい伸展を示しているとはいえ、その経済構造は、基地依存度の高い特殊な形態の上に成り立っています。即ち、国民所得のうち、基地収入が約五四%を示しており、対外貿易においても、逐年赤字経済をつづけている状態にあって、不安定な要素をもっているといわれます。
 その国の経済力を知るものは、国民所得の比較が常識でありますが、日本本土の国民所得は、一人当り七九〇ドルに対し、沖繩は、四九七ドルにして、二九三ドルの格差を出し、各県別の比較でも最下位となっており、しかも沖繩の場合は外資導入による企業所得も含まれているから、実質的な県民所得は更に低いわけであります。
 規定の調査方式ではないので、正確だとはいえませんが、一九六七年度における村民所得の推計は約九〇〇万ドルにして、村民一人当りでは四一〇ドルとなり全沖繩の平均よりも下がっています。またその内容もやはり基地収入が多いのであります。
 豊かなくらしをのぞむなら、沢山もうけることが先決であります。沢山もうけることは、個人個人の能力や努力にもよりますが、それにしても働きやすい、もうけやすい条件がそろってうなければなりません。つまり農業でも沢山もうかるような、工場も企業も盛んになるように、産業をおこすことや、併せて、金融、貿易、物価、消費対策や、流通機構など、綜合的な基盤整備が重要であり、今後における大きな課題であります。
 祖国復帰の日がいよいよ近ずいておりますが、その場合、軍事基地はどうなるか、産業構造はどのように変化していくのか全く予測できるものではありません従って長期事業計画を策定することは至って困難でありますが、このことは本村にとって極めて重要な問題でありますので、これから実施される一体化政策や、復帰体制づくり、内外の経済動向に目を向けて、万全な施策をとるべきだと考えます。また本村における経済振興策として努力すべきことは、軍用地の開放により渡具知港を整備し、住民地域の拡大、企業誘致、観光事業などの新しい開発事業を推進すべきだと考えます
 本年度の農業振興については、昨年より以上の成果を挙げるため、甘蔗、甘藷の栽培展示圃を設け、人参及びそ菜づくりの強化、大家畜の主産地対策、農産物の価格安定、農業経営の合理化について、農業全般にわたり指導業務を強化して村民のくらしを豊かな方向にさしむけて行きたいと思います。

 明るい健康なくらし
 私はこの社会から火災、災害、犯罪を追放するよう心がけ、病気と貧困な人々に更正の手を差しのべるよう、村民の皆さんに心から訴えます。私たちの郷土をより美しく、活気のある明るい環境づくりと、親切で健康にみち、たすけあい、励ましあう調和のとれた村づくりをよびかけます。
 火災の発生を未然に防止するためには、消防団の仕組を改善して、予防消防の認識を高める活動と、火災の被害を最小限にくい止めるべくその機構を整備して、村民の不安を取り除くようにいたします。
 水難事故、交通事故、青少年犯罪などの社会悪をなくするには、それを誘発する要因を調査研究して、制度や施設を改善し、有害環境を取り除き、安全処置や浄化運動のため努力いたします。特に青少年問題については、学校及び民主団体の協力を得て、あらゆる機会を通じ、青少年の健全育成を図ります。
 結核、脳炎、セキリ、コレラ、小児マヒなどの病気は、是非絶滅しなければなりません。そこでカやハエそ族昆虫の駆除業務を強化し、食品衛生、環境衛生の向上を図ります。また寄生虫フイラリアの集団検診と投薬治療、精神病者に対する適正な取扱いを講じ、更に水道の不良施設を改善して、衛生的な飲料水を豊富に供給して、人間の健康管理にいろいろの施策を講じます。
 美しい郷土づくりの構想については、まず緑の並木を部落と部落につなぎ森や林にどんどん植樹してもらおう。各家庭と学校などには、果物や花木を植えていただこう。ゴミや汚水を整理し、不良衛生施設を改善してもらいます。道路をきれいにするために、村道の路面工事と舗装工事を推進して明るい、健康な村づくりをすすめる計画を立ててあります。

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