読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1969年8月発行 読谷村だより / 3頁

1970年度施政方針 

1970年度施政方針 読谷村長 池原昌徳
 池原村長は、さる六月十一日開会された定例議会で、一九七〇年度の施政方針を明らかにしました。この施政方針は、いうまでもなく向う一カ年間の村づくりを推進するためのもので、私達全村民もその方向を知らねばなりません。そこで施政方針の全部を紹介し、村民のご理解と御協力をお願いします。

 本日、第四回議会定例会を招集し、一九七〇年度の村政を推進する重要な施策を御審議いただくにあたり、施政の概要について述べることにいたします。
 多年私は、村民の豊かなくらし、健康で明るいくし、健全な行政を村政の基本として村政を担当してきましたが、本年度も、この基本方針を確認し、激動する時代、躍進する社会に即応する近代的な行政運営を目標にそして本村が直面する諸問題解決のため、民主的、能率的な村政を担当する覚悟であります。
 ではこれから、一九七〇年度における各部門にわたる抱負について述べて見たいと思います。
  産業経済の振興について
 本村の農業をさとうきび、いも、豚の三つを柱にして、それに奨励作目を加えて進めて参りましたが、その基本的な考えが一層明確になり、堅持しなければならないと考えています。特にいも栽培の技術の改善と、豚の品種改良及び技術の向上により、本村の進むべき方向、選択すべきものに向けて、産業経済の方針を設定してあります。
 限られた面積で、規模の拡大をしなければならない現状において、それをいかに立体化するかが、大きい課題であります。そのために畑作においては、単位収量の引上げと、換金度の高い作目の導入、および、養豚の振興が主なる施策にならなければなりません。
 本村の立地条件、いもとの結合、村民の尊い経験とその伝統から、養豚の産地化は容易であるし、実績もよい方向に運んでいますので、是非産地化したいと思います。それを再確認して、尚一層の施策を講じ、その振興を計りたいと考えています。
 養豚振興の新しい年度の事業としてー養豚まつりを開催するー本土から優良種豚を導入するー生産から流通までのいつかんした養豚振興計画を樹立します。
 さとうきびは沖繩の基幹作目であり、基幹産業であります。本村においても主要作物に指定し、従来から野そ駆除、ガイダー防除適期植付運動、栽培比較展示圃の設置、肥料選択と肥培管理の指導督励など積極的な施策を講じてきたが、本年度も引きつづき実施します。新年度は更に技術指導を強化し、奨励品種NCO376を一般蔗園に植付してその試作をはかり、その普及をはります。
 いも栽培については、品種と施肥改善の普及により、大きく進展することができました。新年度は尚一層その普及に努めると共に、いも栽培の機械化の研究を行ない機械化によって多量収穫を期し、乾燥貯蔵することにより、いも栽培の技術体型を改善し、省力化し、養豚の多頭化と結合させたいと考えています。
 奨励作目の振興については、まず需要の面、立地条件といった面から考えた場合、本村では、人参、玉ネギセット、すいか、トマトなどが適当だと思います。それで、この作物を産地化するためには、生産基盤整備の拡充、流通機構の整備が急務でありますが、いろいろと制約のある中での農業であるため具体的な施策が立てられないことを、遺憾に思います。それで新年度は指導業務の強化と、販路の拡張をはかり、価格調整補助金を増額設定して、奨励作物の振興をはかり、農家が安心して農業にいそしめるようにいたします。
 本土復帰が近くなった、という実感と共に、農家の生産に対する意欲は倍加し、自分に適した経営を求めようと、一生懸命であります。従っていまこそ専門家の技術と経営が農家に活用される時期だと考えまして、新年度はー職員の研修と、指導体制を強化するー農業生産団体を強化して、新しい技術経営の導入をはかるー指導圃、モデル農家を設置し、技術、経営普及を中心にする^本土の農業先進地に研修団を派遣して、技術経営の導入をはかります。
 基地経済からの脱皮を推進する万策として、水産業の振興は極めて有望であります。幸にして本村は、東支那海の豊富な漁場をひかえているので、漁港を整備拡張して、水産業の振興をはかりたい。それで現在の都屋の漁港を、政府の指定漁港として認可を受け、新年度から年次的に漁港整備を施工すると共に、漁民に対し、適切に指導育成して、水産業の振興をはかります。
 本村は従来、読谷山花織を再興するために、主として技術者養成に力を入れてきましたが、それも年を重ねることにより、その目的を達成することができました。
 幸にして六九年度は、政府から多額の援助がありましたので、八名の織娘を養成することができました。それでこの人達を中心にして愛好会を結成させ本村の名産、読谷山花織の量産と土産品の育成をはかりたいと思います。
  建設事業の推進について
 村内を走る、六号線と十二号線の政府道路は、私たちの多年にわたる要請により、いまや、ずいぶん立派になりました。つまり部分的とはいえ、昨年、六号線と十二号線の舗装工事と、十二号線の巾員拡張工事が行なわれましたことは、まことによろこばしいことだと思います。本年度も未執行の部分の舗装工事と、側溝工事を施工できるよう努力いたします。 
 村道の整備計画も順調に推進中でありますが、それに基づいて新年度は、大木~古堅線の全線と、大木~比謝線の残りの分の改良工事、高志保~宇座線の延長工事と路面張替工事を計画しています。
 また政府に対し数本の農道工事を要請してありますが、いまのところ新年度は宇座地内の農道が内定しており、失業対策事業による土木事業は、古堅中学校の運動場周辺の美化及排水工事を計画しています。
  教育の振興について
 学校教育の上で最も重要である図書館、給食施設、教材備品などの基本施設も着々と整備されてきましたが、特に昨年度は読谷中学校の運動場用地を購入し、また村民待望の体育館も近く着工の運びであり、近代幼稚園舎の建設など、遂年整備拡充されました。
 本年度は読谷教育委員会の計画した教育現場の管理運営の充実と、読谷小学校の給食施設、読谷中学校の運動場整備、その他の設備費、運営費にあてるため、一五三、〇〇〇ドルの教育費負担金を交付したいと計画しています。
 尚、社会体育振興のため、村の中央運動場整備費に相当の資金を投入してきましたが、このたび体育館建設によって、若干運動場用地に食い込みがありましたので、その補足分の用地購入を計画しています。
 それから青年会、婦人会、老人クラブ、村体協、スポーツ少年団など、各種団体の育成強化と青少年の健全育成について、一段の努力を払いたいと思います。
  保健福祉の増進について
 私は、この村を、健康の村、長寿の村、安心して生活のできる村をつくりたい。そのためには伝染病予防業務の強化、不良衛生施設の改善を図ると共に、各種予防接種及び集団検診を実施して村民の保健、衛生の向上をはかります。
 沖繩の社会保障制度は、かなり立遅れているといわれていますが、幸にして、昨年八月より国民年金法が執行されましたことは、よろこばしいことであります。老令、廃疾、死亡によって人間生活の安定がそこなわれようとする者を、住民連帯の責任によってこれを防止し、健全な人間生活の維持、向上をはかるための制度ができたのであります。
 また国民年金法の施行により、来年七月より拠出制国民年金制度が実施されますので、資格取得者届出の受理、国民年金手帳の交付、保険料徴収事務など、新しい業務に備えて万全を期したいと思います。
 老人福祉を高めていくために、新年度から老人の家庭奉仕員を設置し、老人の健康診査費及び精密検査費の全額村負担、敬老交付金の増額など計画いたしまして、老人各位が今後益々心身の健康を保持し、その知識を経験を、社会に役立たせるよう、老人福祉の増進をはかります。
  水道事業の運営について
 本村の水道事業は、一九六五年より開設して既に五カ年になりました。その間、全村民に対し、清浄で、豊富で、安い水を供給するように、そして条件の悪いところから着々と、水道の基本施設を整備する方針で、その運営をすすめて参りました。また昨年度は、これまで残されていた部落運営を全面的に村営に移管しました。従って現在の給水人口は二〇、七〇〇人に達し、吸水率は七七%になりました。
 現在、村内における未給水地域はありませんが、今後改良を要する不良施設がまだまだ残っていますので、本年度は、古堅と伊良皆地域の改良工事を行なって、水道事業の健全運営を期するよう務めます。
  消防団の組織強化について
 昨年私は、消防活動の充実を図るため、いくらかその仕組みを改善しましたが、いまなお不十分につき本年度は、その仕組を大巾に改善する計画であります。
 まず常備団員を二名増員して、非常備団員の日曜と夜間勤務をなくして、予防消防の実をあげ、火災の被害を最小限度に喰い止めるべく、消防行政の完璧を期したいと考えています。
※続く

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