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1971年5月発行 広報よみたん / 4頁

読者のサロン 喜名区民に拍手

読者のサロン 
喜名区民に拍手 知念武
 三月一日発行の広報「よみたん」が伝えたひとつの報道は、近ごろ滅多に味ったことのない爽快な気分へ私をいざなってくれた。
青少年の健全育成と、その環境浄化を目ざして喜名区が「子どもに、酒、タバコはうりません」と具体的な取組を展開、これを区民の総意に基いて昨年十二月から実践しているということである。
 周知のとうり、政府や市町村には幾多の重要な周、月間運動がある。青少年を健全に育てる運動はその最たるものであろう。各種の運動が、じみながらもそれなりの成果を収めつつある中で、沖縄の未来を背負って立つ子どもたちの育成、いわゆる人づくりの運動はいつかな効奏しない。世間の”何とかしなけりゃ”の掛け声だけは年々高まってゆくけれども、子どもたちの悪い遊びや、かっぱらい、大人の意表をつくかずかずの犯罪は一向に絶える気配がない。今の世相は義理にも健全とはいえないだろう。少年非行を放任して豊かな社会、文化の向上もないものだ――。
 青少年の悪への転落は大人に責任あり、と自覚した喜名区の良識が、不良化の手引きとなる酒、タバコ類の店から子どもたちを遠ざけた勇断はまことに爽快、拍手ものである。
子どもは家庭の走り使いと心得、ミソも酒も見境なく買わせる一般の慣行はこれ以上の覚醒材料はないと思う。児童福祉法への抵触を顧みず、平気で年少者を虐待したり、いたいけな少女を食いものにするような悪質風俗営業が軒を構えている社会。この土壌では純心な子どもたちが知らずのうちに毒されるのも無理からぬことである。少年たちの非行に大人の責任は大である。ことを知るべきだ。
 考えてみると、青少年の健全育成は、いいやすくてこれほどむつかしい事業もない。それは一地域社会の努力だけで実を結ばせ得る性質の運動でもない。社会の連帯が不可欠の条件である。喜名区が区民を挙げて子どもたちの悪への傾斜に監視の目を光らせ、この運動に結束していることは正に快挙である。
 私は村内の各字が喜名区へ右へならえをすることを切望してやまない。地域から全琉へ、運動の輪がひろがれば、当今の少年犯罪も著しく減るものと確信する。
 人づくりの問題に関する限り、百の論議よりも、ひとつの実践の方が究極への早道だと考えるゆえに、喜名区民の実践活動に心から拍手を送るものである。

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